この記事の結論
判断の前提になる数字
国内のキャッシュレス比率(2024年)
42.8%
うちクレジットカード(金額ベース)
82.9%
加盟店手数料の水準
おおむね3%台
出典:経済産業省(2025年3月公表・2022年検討会資料)。取得 2026-03-18
目次
  1. 手数料が引かれるのに、なぜ入れる店が増えているのか
  2. 手数料と現金管理を、同じ物差しで並べる
  3. 車検・整備は客単価が大きいから効く
  4. どの決済手段から入れるか
  5. 入金が後になる、その間のお金をどう見るか
  6. 全額でなく、一部から始める
  7. よくある質問

手数料が引かれるのに、なぜ入れる店が増えているのか

「カード払いだと手数料を取られる。現金のほうが店は得だ」。この感覚は半分正しく、半分だけ抜けています。手数料が売上から引かれるのは事実です。それでもキャッシュレスを入れる店が増えているのは、現金にも見えにくい手間がかかっているからです。経済産業省によると、2024年の国内のキャッシュレス決済比率は42.8%まで上がりました。お客さんの財布の中身がカードやスマホに移っている以上、現金だけで回す店は、払い方を選べないことで客を取りこぼします。

あなたの店で判断するときは、手数料という分かりやすい支出だけで決めないことです。現金を扱う手間も、人件費という形でお金が出ています。両方を並べてから、入れるかどうかを決めます。

手数料と現金管理を、同じ物差しで並べる

キャッシュレスを入れるかどうかは、引かれる手数料と、現金管理にかかる時間を、同じ金額の物差しに直して比べると見えてきます。片方だけ見ると、必ず判断を誤ります。

比べるもの 現金だけのとき キャッシュレスを入れたとき
会計のたびの手間 釣り銭の用意、数え間違いの確認 端末にかざす・差し込むだけ
1日の締め作業 レジ現金を数えて帳簿と合わせる 売上は記録に残り、数えが減る
銀行への入金 売上を持って窓口やATMへ行く 口座に自動で振り込まれる
かかる費用 釣り銭の準備・移動・人件費 代金の3%台の手数料

たとえばレジ締めと入金で毎日30分使っているなら、月に10時間を超えます。その人件費を金額に直し、手数料の見込み額と並べます。手数料のほうが小さければ、入れたほうが得という判断になります。逆に1日数台で現金管理がほとんど負担になっていない店なら、急いで入れる理由は薄くなります。

釣り銭と防犯のコストも数える。現金は数えと入金だけでなく、釣り銭を切らさないための両替や、店に現金を置くことの防犯面でも負担があります。金額に出にくいぶん見落としやすい支出です。

車検・整備は客単価が大きいから効く

同じ手数料率でも、商売の客単価によって得かどうかは変わります。自動車店の車検・整備は1台あたりの代金が数万円から十数万円と大きいのが特徴です。代金が大きいほど、現金だと数える札の枚数も、釣り銭の額も、入金で運ぶ金額も増えます。手間のほうも大きくなる、ということです。

手数料は代金に対する割合なので、客単価が大きければ1件の手数料も大きくなります。ここだけ見ると不利に思えます。一方で、高額な現金を店に置く防犯面の不安や、お客さんが「カードで払いたい」と言ったときに断ることで車検を逃す損も、客単価が大きいほど重くなります。代金が大きい商売ほど、手数料の損も現金の手間も両方が膨らみます。だからこそ、片側だけで決めずに両方を並べる必要があります。

少額の消耗品やオイル交換だけの店と、車検・板金まで扱う店では、向き不向きが変わります。自店の1台あたりの平均単価を思い浮かべて、その金額で両方を比べてみてください。

どの決済手段から入れるか

キャッシュレスといっても中身はいくつかに分かれます。自動車店の代金は1件が大きいため、入れる順番には向き不向きがあります。

複数の手段を1台の端末でまとめて扱えるものを選ぶと、入金の管理が1本にまとまり、事務の確認が楽になります。手段ごとに端末や入金日がばらばらだと、月末の突き合わせがかえって増えます。

入金が後になる、その間のお金をどう見るか

現金商売との一番の違いは、その場で手元に現金が入らない点です。キャッシュレスは、売上が口座に振り込まれるまでに数日から1か月の差があります。これを知らずに入れると、仕入れの支払いが先に来る月に手元のお金が薄くなります。

契約の前に、入金がいつになるかを必ず確かめます。週に1回入るものもあれば、月にまとめて1回のものもあります。入金が早いほど手元は楽ですが、そのぶん手数料がやや高い設定のこともあります。手数料率だけでなく入金日もあわせて比べて、自店のお金の回り方に合うほうを選びます。

確かめる順番

①手数料率は何%か ②入金は何日後・月に何回か ③端末の費用や月額はかかるか ④やめるときの縛りや違約金はあるか。この4つを、声をかける数社に同じ質問で聞くと、横並びで比べられます。

全額でなく、一部から始める

キャッシュレスを入れる=現金をやめる、ではありません。現金とキャッシュレスは併用できます。まずは支払いたいお客さんに応えられる状態にして、現金もこれまで通り受けます。いきなり全部を切り替える必要はありません。

最初の1〜2か月は、車検・整備の高額会計だけキャッシュレスを案内する、といった一部からの導入で様子を見ます。どのくらいの割合のお客さんが使うか、レジ締めがどれだけ減ったかを、実際の数字で確かめてから広げます。紙とExcelをやめる進め方と同じで、小さく試して手応えを確かめてから次へ進むほうが、現場にも無理がありません。

払い方を選べる店は、お客さんにとって入りやすい店です。手数料という分かりやすい支出に引きずられず、現金の手間と客単価の大きさまで含めて、自店にとって得かどうかを決めてください。

自店だと手数料と手間、どちらが大きいか相談したい

1台あたりの平均単価とレジ締めの時間から、キャッシュレスが得になる線を一緒に見積もります。自店の数字に合わせて相談を受け付けます。

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お問い合わせ窓口は近日開設します。

よくある質問

手数料を引かれてまでキャッシュレスを入れる意味はありますか。
車検や整備は1台あたりの代金が大きいので、3%台の手数料は1件で数千円になります。ここだけ見ると損です。判断材料はもう一方の手間で、毎日のレジ締めと釣り銭の用意、銀行への入金にかかっている時間を金額に直して、手数料と並べて比べます。現金管理に毎日30分かかっているなら、その人件費と手数料を突き合わせて決めます。
全額をキャッシュレスにしないといけませんか。
そうではありません。現金とキャッシュレスは併用できます。まずは支払いたいお客さんにだけ対応できる状態にして、現金もこれまで通り受けます。高額な車検代金だけキャッシュレスを案内する、といった一部からの導入もできます。全部を一度に変える必要はありません。
どの決済手段から入れればいいですか。
自動車店の代金は1件が大きいため、クレジットカードがまず外せません。日本のキャッシュレスの内訳でも、金額ベースでクレジットカードが8割以上を占めます。これに、若い世代や少額の追加部品で使われるコード決済を足すかどうかを次に考えます。複数手段をまとめて1台で扱える端末を選ぶと、入金管理が1本化されて事務が楽になります。
入金が後になるとお金が回らなくなりませんか。
キャッシュレスは売上が口座に入るまでに数日から1か月の差があります。仕入れの支払いが先に来る月は、入金の時期を契約前に確かめておくと安全です。入金サイクルの早さで手数料が変わる場合もあるため、手数料率とあわせて入金日も比べます。
参考(2026-03-18 取得)