この記事の結論
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電子データ保存が必須に
2024年1月から
検索要件が不要になる線
売上高5,000万円以下
満たす保存要件
真実性と可視性の2つ
出典: 国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト(2026年6月4日 取得)
目次
  1. そもそも、何を残せと言われているのか
  2. 満たす要件は「真実性」と「可視性」の2つ
  3. 真実性は、規程を作れば仕組みなしでも満たせる
  4. 可視性は、売上高の線で対応が分かれる
  5. 間に合わないときの猶予措置と、その前提
  6. 自店で今日から始める保存の手順
  7. よくある質問

そもそも、何を残せと言われているのか

取引先からメールに添付された請求書、部品商のサイトからダウンロードした納品書、クレジット決済の利用明細。あなたの店にも、紙ではなくデータで届く書類が毎月たまっているはずです。電子帳簿保存法でいま守る必要があるのは、この「電子取引のデータ」をどう残すか、という1点です。

2024年1月から、こうしたデータは電子データのまま保存することが、すべての事業者に求められています。それまでは紙に印刷して保管する形も認められていましたが、いまは印刷した紙だけでは足りません。受け取ったデータそのものを原本として残す、という考え方に変わりました。

誤解されやすいのですが、義務になったのはこの「電子取引」の部分だけです。手書きの伝票や、紙で受け取った請求書をスキャンして電子化する話(スキャナ保存)、自店の会計ソフトで作る帳簿を電子で残す話は、やるかどうかを店が選べます。まず線を引くべきは、データで届いたものをデータで残す、ここからです。

満たす要件は「真実性」と「可視性」の2つ

残し方には決まりがあります。とはいえ覚えることは多くありません。国税庁が求めているのは、大きく2つの要件です。

要件1: 真実性 ― あとから書き換えられない

保存したデータが、受け取ったあとに勝手に直されたり消されたりしない状態にしておくこと。金額を1桁書き換えるような改ざんを防ぐ、という趣旨です。

要件2: 可視性 ― 必要なときに見られて探せる

保存したデータを、画面に出して読める状態にし、操作の説明書を備え、税務調査などで求められたときに目的のデータを探し出せること。この2つを満たせば、保存の形としては合格です。

難しく見えるのは、要件を満たす手段が複数あり、どれを選べばいいか分からないからです。真実性と可視性のそれぞれで、小規模な整備工場が現実に取れる選び方を順番に決めていきます。

真実性は、規程を作れば仕組みなしでも満たせる

真実性を満たす方法は、国税庁が示すもので4通りあります。新しい費用がかかるものと、かからないものが混ざっています。あなたの店に向くのはどれか、表で見比べてください。

真実性を満たす方法 必要なもの 小規模な店での現実度
送り手側でタイムスタンプを付けてもらう 取引先の対応 相手次第。自店だけでは決められない
受け取ったあと自店でタイムスタンプを付ける 有料サービスの契約 件数が少ないと割高になりやすい
訂正・削除の記録が残るシステムで保存する 対応した会計・文書システム すでに導入済みなら有力
事務処理規程を作って守る 規程の文書(費用ゼロ) 最も入りやすい。多くの店の出発点

このうち、追加の費用なしで始められるのが、いちばん下の事務処理規程です。データを勝手に直さない・消さない、修正が必要なときはどう扱うか、というルールを文書にして、それを守る運用にしておく方法です。国税庁が規程のひな形を公開しているので、あなたの店の名前と日付を入れれば使えます。ゼロから条文を書く必要はありません。

まずは規程から始めて、後で乗り換えてよい。事務処理規程で要件を満たしておき、整備管理システムや会計ソフトを導入したタイミングで、訂正・削除の記録が残る保存に切り替える。この順番なら、いま費用をかけずに法律を満たせます。

可視性は、売上高の線で対応が分かれる

可視性のうち、画面で読める状態にしておくこと、操作説明書を備えることは、どの店も共通です。判断が分かれるのは「検索できるようにする」部分です。原則は、保存したデータを取引年月日・取引金額・取引先の3つで探せる形にしておくこと。ファイル名にこの3つを入れる、一覧の表で管理する、といったやり方が求められます。

ただし、ここに小規模な事業者向けの大きな緩和があります。基準期間(前々年度)の売上高が5,000万円以下で、税務調査のときにデータの提示にすぐ応じられるようにしてあれば、検索できる形に整える必要はありません。この線は、もとは1,000万円以下でしたが、令和5年度の改正で5,000万円以下まで引き上げられました。年商で見て、多くの整備工場はこの中に入ります。

さらに、データを印刷した書面を、取引年月日と取引先ごとに整理して提示・提出できるようにしてある事業者も、検索要件は不要とされました。データはデータで残しつつ、調査のときに見せる書面を日付順・取引先順に並べておく、という運用でも認められる、という意味です。

前々年度の売上高 検索できる形にする必要 やること
5,000万円以下 不要 求められたらデータをすぐ出せるようにしておく
5,000万円超 必要 取引年月日・取引金額・取引先で探せる形にする

つまり、自店が5,000万円以下なら、データを月ごとのフォルダにためておき、聞かれたらすぐ出せる状態にするだけで、可視性の検索部分は満たせます。検索用にファイル名を細かく付け替える手間は、必須ではありません。

間に合わないときの猶予措置と、その前提

システムも社内の手順もまだ整っていない。そういう店のために、恒久的な猶予措置が用意されています。要件どおりに保存するための環境が整っていない相当の理由があり、税務署の求めに対してデータと、それを印刷した書面の両方で応じられるなら、保存要件を満たしていなくても認められる、という仕組みです。事前の申請はいりません。

ここで取り違えやすい点を1つ。猶予されるのは「要件どおりに整える」ことであって、「データを残すこと」そのものではありません。受け取ったデータを消してしまうと、この猶予の対象から外れます。だから、要件の整備が間に合っていなくても、届いたデータだけは捨てずに残しておく。これが最低限の前提です。

猶予措置はあくまで当面の逃げ道です。あなたの店が長く使うことを考えるなら、フォルダで残す運用と事務処理規程を整えて、正面から要件を満たす形に早めに移しておくほうが、調査のときに慌てずに済みます。

自店で今日から始める保存の手順

ここまでの判断を、実際の作業に落とします。前々年度の売上高が5,000万円以下の整備工場を想定した、いちばん軽い形です。

この4つで、追加の費用をかけずに電子帳簿保存法の電子取引部分を満たせます。整備管理システムや会計ソフトをこの先入れるなら、そのときに訂正・削除の記録が残る保存へ切り替えれば、規程の運用から無理なく移れます。この対応を、紙とExcelをやめる動きの最初の一歩にすると、後の手戻りが減ります。

自店の保存方法でいいか、確かめたい

売上高の線、規程の作り方、いま使っているソフトで足りるか。電子帳簿保存法の保存方法について、自店の状況に合わせた相談を受け付けます。

相談する(準備中)

お問い合わせ窓口は近日開設します。

よくある質問

メールで届いた請求書を紙に印刷して保管すれば、それで足りますか。
2024年1月以降は足りません。メールやサイトで電子データとして受け取った請求書・領収書は、紙に印刷しても、電子データそのものを残す必要があります。紙はあくまで控えで、原本は受け取ったデータのほうです。これは売上高の大小に関係なく、すべての事業者が対象です。
専用のシステムを入れないと電子帳簿保存法は守れませんか。
システムがなくても満たせます。データを勝手に書き換えない・消さないというルールを文書にした事務処理規程を作って守れば、真実性の要件はそれで満たせます。国税庁が規程のひな形を公開しているので、自店の名前を入れて使えます。残すのはパソコンのフォルダでもクラウドのストレージでもかまいません。
ファイル名で取引日・取引先・金額を検索できるようにしないとだめですか。
前々年度の売上高が5,000万円以下なら、税務調査でデータの提示を求められたときにすぐ出せる状態にしてあれば、検索できる形に整える必要はありません。整備工場の多くはこの線の中に入ります。線を超える規模なら、取引年月日・取引金額・取引先で探せる形にしておきます。
準備が間に合っていません。何もしないと罰がありますか。
システムや社内の手順が整っていないといった相当の理由があり、税務署の求めにデータと出力した書面で応じられるなら、保存要件を満たさなくても認められる猶予措置があります。事前の申請はいりません。ただし、受け取ったデータを消さずに残しておくことが前提です。データを捨ててしまうと、この猶予の対象にもなりません。
参考(2026年6月4日 取得)