- 二度打ちの正体請求で打った金額・取引先・日付を、会計ソフトにもう一度入力している。あなたが消したいのは、この同じ数字を二度打つ作業です。
- つなぐ判断月の伝票が増え、月末入力に何日も取られているなら連携を入れる場面。件数が少なく負担が軽いなら、手入力のままでも回ります。
- つなぐ前の3点勘定科目の振り分けが決められるか・電子取引の保存に対応しているか・やめるとき仕訳データを取り出せるか。この3点を確かめてから選びます。
- 制度の後押しメールやサイトでやり取りした請求・領収のデータを電子のまま保存する義務は、2022年1月の施行です。2022年1月から2023年12月までは紙に出力した控えでも認める宥恕措置がありましたが、2024年1月にこの猶予が終わり、原則は電子データのままの保存になりました。対応した会計ソフトに寄せると一度に片づきます。
なぜ同じ金額を二度打つことになるのか
月末、会計ソフトの売上入力の画面に向かって、先月の請求書を1枚ずつ見ながら金額を打ち込んでいく。請求のときに一度打った金額・取引先・日付を、ここでもう一度打ち直しています。あなたが毎月くり返しているのは、この同じ数字の二度打ちです。手書きの売上帳を間にはさんでいるなら、集計のひと手間もここに乗ります。
二度打ちが残るのは、請求を作る仕組みと会計の仕組みが別々で、間が人の手でつながっているためです。片方で確定した数字が、もう片方へ自動で渡らない。だから月末の入力日にまとめて打ち直すことになり、桁の打ち間違いや取引先の取り違えも、この打ち直しの場面で起きます。整備の売上は全国で年6兆2,561億円(令和6年度・JASPA)に上りますが、その1件1件の数字を、いまも多くの店が手で二度打ちしています。
連携を入れるか、手入力を続けるかの分かれ目
つなぐかどうかは、機能の有無ではなく、いまの負担と件数で決めます。次のどれかに当てはまるなら、連携を入れる場面です。
- 月末の会計入力に、丸一日かそれ以上を取られている――伝票の数が増えるほど、打ち直しの時間は積み上がります。
- 入金の消し込みが追いつかない――請求と入金を別々に管理していると、どれが未入金か分からなくなります。
- 桁や取引先の入力ミスが、決算前に見つかる――二度打ちの場所が、そのままミスの出どころになっています。
- 電子でやり取りした請求や領収の保存対応にも迫られている――後で触れるとおり、2024年1月に紙出力を認める宥恕措置が終わった電子保存が重なっています。
逆に、月の伝票が数えるほどで、入力が負担になっていないなら、急いでつなぐ必要はありません。連携にも初期の設定や費用がかかります。打ち直しの時間と、つなぐ手間とを並べて、いまのあなたにとってどちらが重いかで決めます。
つなぐと、二度打ちのどこが消えるのか
請求と会計をつなぐと、何が自動になり、何が手元に残るのかを分けて見ます。「全部が消える」と思って入れると、残った確認作業に拍子抜けします。先に消える作業と残る作業を分けておけば、入れたあとで落胆せずに済みます。
| 作業 | 連携の前 | 連携の後 |
|---|---|---|
| 売上金額の入力 | 請求で打った額を会計に再入力 | 自動で渡る(打ち直しが消える) |
| 取引先・日付の入力 | 会計側でもう一度入力 | 請求の情報がそのまま渡る |
| 勘定科目の振り分け | 毎回、手で科目を選ぶ | ルールを決めれば多くは自動、確認は残る |
| 入金の消し込み | 請求と入金を別々に突き合わせ | 請求と入金がひもづき、漏れが見える |
消えるのは、確定済みの数字を打ち直す作業です。残るのは、渡ってきた取引の科目が合っているかを見る確認です。白紙から打ち込む作業が、できあがったものを見る作業に変わる。連携で軽くなるのは、ここです。
つなぐ前に確かめる3点
連携できる会計ソフトは数も種類もあります。現場で続くかどうかは、機能表より次の3点でだいたい決まります。
1: 勘定科目の振り分けを、自店のやり方で決められるか
整備売上・部品売上・車検代行など、自店の科目の分け方に合わせてルールを作れるか。ここが固定で動かせないと、渡ってきた取引を毎回手で直すことになり、二度打ちが別の形で戻ります。
2: 電子取引の保存要件に対応しているか
メールやサイトでやり取りした請求・領収のデータを、日付・金額・取引先で検索できる状態で残せるか。あとで説明する保存の義務に、ソフト側で答えられるかを確かめます。
3: やめるとき、仕訳データを取り出せるか
科目の履歴や仕訳を、後からCSVなどで取り出せるか。出せないと別のソフトへ移れず、値上げや方針変更にも弱くなります。入れる前に、出せる形を確かめておきます。
電子取引の保存義務が、連携を後押しする
つなぐかどうかを迷っている間にも、保存のルールはすでに変わっています。メールやインターネット上のサイトでやり取りした請求書・領収書などの電子取引データを電子データのまま保存する義務は、2022年1月に施行されました。施行から2023年12月までは、紙に印刷した控えでの保存も認める宥恕措置がありましたが、これが2024年1月に終わり、いまは相当の理由がある場合の猶予措置に切り替わっています。所得税法・法人税法上の保存義務者が対象です(国税庁)。
保存には2つの要件があります。1つは、日付・金額・取引先で検索できる状態にしておくこと。もう1つは、データを勝手に訂正・削除できないようにする措置で、訂正削除を防ぐ事務処理規程を備えるか、それができるソフトを使うことで満たします。手入力の会計を続けたまま、この保存だけを別に整えると、管理する置き場が二重になります。連携できる会計ソフトはこの保存要件に対応しているものが多く、請求から会計、保存までを1か所に寄せると、二度打ちの解消と保存の義務対応が一度に片づきます。
月末を1回ぶんで試す進め方
連携を決めたら、月末の入力1回ぶんで区切って試します。区切ると、合わなかったときに引き返せます。
1か月目: 振り分けルールを作る
最初の月は、整備売上・部品・代行などの科目ルールを決める時間にあてます。ここを丁寧に作るほど、翌月から見るだけで済む取引が増えます。
2か月目: 渡ってきた取引を確認する
請求から自動で渡った取引の科目が合っているかを確認します。手直しが多いなら、1か月目のルールを直します。この時点で「打ち直しが減ったか」を実感で確かめます。
3か月目: 続けるか決める
3か月使って、月末が前より軽いなら続けます。「確認のほうが時間を食う」なら、科目の分け方が自店に合っていないので、ルールか選んだソフトを見直します。無理に続けないことが、次の判断の足場になります。
請求と会計がつながったら、同じ考え方で見積や入庫予約の電子化にも進めます。整備事業場は全国で92,384(令和6年6月末・JASPA)あり、その多くが同じ二度打ちを抱えています。あなたの店で1か所つなげた経験が、次の工程を選ぶときの判断材料になります。
自店の請求と会計、どこからつなぐか相談したい
月の伝票の数や、いまの入力の負担に合わせて、連携を入れる場面かどうか、つなぐ前に確かめる点を一緒に整理します。
相談する(準備中)お問い合わせ窓口は近日開設します。
よくある質問
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(電子取引データの保存義務・保存要件の根拠)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm - 国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(検索要件・訂正削除の防止の事務処理規程)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/02.htm - 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)「令和6年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」(事業場数92,384・総整備売上高6兆2,561億円)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R06jittaityousa.pdf