この記事の結論
この記事で決める3つ
最初に電子化する所
打刻と集計
記録の残し方
後で直せない方法
打刻の方式
外回りの有無で選ぶ
目次
  1. 毎月の集計に半日かかる、その正体
  2. なぜ客観的な記録でないとまずいのか
  3. 残業の上限と賃金の時効、記録がないと困る場面
  4. 打刻の方式を、自店の働き方から選ぶ
  5. どこから電子にするか、入れる順番
  6. 1か月だけ試して、続けるか決める
  7. よくある質問

毎月の集計に半日かかる、その正体

給与の締め日が来るたびに、あなたは整備士のタイムカードを一枚ずつ並べ、出勤と退勤の時刻を電卓で拾い、残業の分を足していく。1人ぶんで数分でも、人数が増えれば半日が消えます。整備の事業場は全国で約9万2千あり、1事業場あたりの整備要員は平均4.35人と、小さな店が中心です。小さい店ほど、この集計を事務のあなたが1人で抱えています。

手集計の何がしんどいかというと、計算そのものより「拾い直す」ところです。カードの数字を目で追って書き写し、深夜や休日の割増を別に数え、打刻もれがあれば本人に確認して直す。この往復が毎月発生します。打刻と同時に時間が積み上がる仕組みにすれば、月末にまとめて拾う作業がまるごと消えます。勤怠の電子化で最初に効くのは、この一点です。

なぜ客観的な記録でないとまずいのか

電子化が効くのは、手間が減るからだけではありません。始業と終業の時刻を客観的な方法で把握することは、2019年4月から労働安全衛生法で事業主に求められています。客観的な方法とは、タイムカードやパソコンの使用記録のように、後から書き換えにくい記録を指します。

逆に弱いのは、手書きの出勤簿や、本人がExcelに自己申告で打ち込む方式です。あとから直せてしまうため、客観的な記録として認められにくくなります。「うちは紙の出勤簿で回している」という店は、回っているように見えて、記録の土台が弱いままです。打刻機やパソコンで時刻が自動的に残る形にしておけば、この土台が固まります。

記録のしかた 客観的な記録としての強さ 集計の手間
手書きの出勤簿 弱い(後から直せる) 大(全部を手で拾う)
本人がExcelに自己申告 弱い(後から直せる) 中(式は組めるが入力は手作業)
紙のタイムカード 強い(押した時刻が残る) 大(毎月、目で拾い直す)
電子の打刻(カード・スマホ等) 強い(時刻が自動で残る) 小(押すと同時に積み上がる)

残業の上限と賃金の時効、記録がないと困る場面

記録が弱いと、後で具体的に困ります。中身は2つです。1つは残業の上限、もう1つは賃金の時効です。

残業には上限があります。時間外労働は原則として1か月45時間、1年360時間までで、中小企業にも2020年4月から適用されています。繁忙期にこの線を超えていないかは、月のあいだに残業時間が見えていないと判断できません。手集計だと、超えたと気づくのは集計し終えた締め日のあとです。電子化して途中で残業時間が見える状態にしておけば、超えそうな整備士に早く手を打てます。

もう1つが時効です。残業代などの賃金を請求できる期間は、2020年4月から当面のあいだ3年に延びました。賃金台帳の保存も同じく当面3年です。仮に「残業代が足りない」と過去にさかのぼって問われたとき、正しい勤怠の記録が残っているかどうかで話が変わります。客観的な記録は、こうした場面であなたと店を守ります。

打刻の方式を、自店の働き方から選ぶ

電子化と一口に言っても、打刻の方式はいくつかあります。多機能なものを選ぶより、自店の働き方に合う打刻ができるかで決めると外しません。整備の現場で分かれ目になるのは、外に出る仕事があるかどうかです。

お試し期間は、いちばん外に出る整備士で試す。事務所で打つだけの人で試すと、ほぼ問題なく回ります。本当に確かめたいのは、直行直帰の日や出張の日に打刻が抜けないかです。いちばん打刻が難しい働き方の人に1か月使ってもらうと、自店に合うかがはっきりします。

どこから電子にするか、入れる順番

勤怠と給与をいっぺんにつなごうとすると、設定が重くて止まります。先に全部をそろえず、効きめの大きい所から順に入れます。

1段目: 打刻と集計を電子にする

まずは打刻と、その自動集計だけを入れます。ここだけで、毎月の拾い直しが消えます。最初の効きめがいちばん大きいのもこの段です。給与ソフトとの連携は、まだ考えなくてかまいません。

2段目: 残業と休暇の管理をのせる

集計が安定したら、残業時間が途中で見える設定と、有給の残り日数の管理を足します。上限に近づいた整備士に早めに声をかけられるようになります。

3段目: 給与計算とつなぐ

勤怠の数字が固まってから、給与ソフトへ渡す連携を入れます。順番を逆にして先に連携から組むと、勤怠側がぐらついたまま給与に流れて、かえって確認が増えます。

この順番で進めるのは、紙とExcelをやめるときの考え方と同じです。一度に全部を替えず、1段ずつ「これは楽になった」を確かめてから次へ進みます。勤怠はそのなかでも、効きめが見えやすく、始めやすい入口です。

1か月だけ試して、続けるか決める

無料やお試しの期間があるなら、本番の1か月で使い切ります。デモ画面を眺めるだけでは、自店の打刻のクセは分かりません。区切って試すと、合わなかったときに引き返せます。

試すあいだに確かめるのは3つです。打刻が全員ぶん抜けずに残るか、月末の集計が本当に短くなったか、シフトや割増の区分が自店の数え方と合っているか。この3つが満たせていれば続けます。どれかが引っかかるなら、自店の働き方に合っていないので、別の方式に替えます。ここで合わないものを無理に続けると、整備士に「電子化は面倒」という見方が残ります。最初の1か月で見切るほうが、現場にしこりを残しません。

自店の勤怠、どの方式が合うか相談したい

外回りの有無や人数によって、向く打刻の方式は変わります。自店の働き方に合わせて、どこから電子にするか相談を受け付けます。

相談する(準備中)

お問い合わせ窓口は近日開設します。

よくある質問

タイムカードのままではだめなのですか。
タイムカード自体は客観的な記録として認められます。問題は、押した時刻を毎月手で拾って電卓で足す集計のほうです。打刻と同時に時間が積み上がる仕組みにすると、月末にまとめて拾い直す手間と計算ミスが消えます。手書きの出勤簿や本人がExcelに自己申告で書く方式は、後から直せるため客観的な記録として弱い扱いになります。
なぜ勤怠を客観的に記録しないといけないのですか。
始業と終業の時刻を客観的な方法で把握することは、労働安全衛生法で2019年4月から事業主に求められています。タイムカードやパソコンの記録など、後から書き換えにくい方法が基本です。さらに残業代の計算根拠になり、未払いを問われたときに正しい記録があるかどうかで判断が変わります。
5人ほどの小さな工場でもシステムは要りますか。
人数が少なくても、月末の集計に半日かかっている、残業時間を誰も把握できていない、というなら効きます。整備の事業場は1事業場あたりの整備要員が平均4.35人と小さく、小さくても残業や賃金の記録義務は同じようにかかります。まず打刻と集計だけを電子化し、給与計算との連携は後から足す進め方が無理なく入ります。
電子化すると、外回りや直行直帰の打刻はどうなりますか。
出張先や代車の引き取りで直行直帰がある場合は、スマホから打刻できる方式が向いています。工場に固定の打刻機だけだと、外に出る日の記録が抜けて、結局あとで手直しが要ります。自店に外回りや複数拠点があるなら、据え置きの打刻にこだわらず、手元の端末で打てるかを確かめてから選びます。
参考(2026-06-04 取得)