- どこから受付票に記入した内容のうち、見積や請求にもう一度書き写しているものを、まず電子に移します。一度の入力で後工程へ渡る形が、いちばん効きます。
- 何を残す受付に要る項目は7つ。受付日時・名前と連絡先・車両・入庫理由・預かりか待ちか・引き渡し予定・担当。電子車検証で券面から消えた満了日の確認欄も足します。
- 進む順まず無料の表計算ソフトやフォームで受付の形を固め、複数人・満了日管理・外からの入力が要るようになってから、有料の管理システムへ移します。
- 続け方受付が片づいたら次に見積、その次に電話受付やWeb入庫予約へ。1工程ずつ確かめてから広げると、繁忙期に止まりません。
受付で一番こたえているのは、後の二度書き
朝いちで入庫が重なって、受付票の山が机に残る。あなたがいま手で書いている名前・連絡先・車両・依頼内容は、このあと見積書にもう一度、請求書にもまた書かれます。受付票そのものを速く書くより、この後ろの書き写しを消すほうが、店全体では軽くなります。受付の電子化を「受付の手間を減らす話」だと考えると、効きめを見誤ります。
そこで受付の電子化で最初に選ぶのは、受付の入力そのものではなく「後工程へ渡る項目」です。受付で一度入れた内容が、見積と請求にそのまま渡れば、転記ミスと書き写しの時間がまとめて減ります。あなたが受付で1分余計に入力しても、見積担当が同じ内容を打ち直さずに済むなら、店全体では時間が浮きます。
受付票に残す7項目と、満了日の確認欄
電子に移すといっても、いまの受付票の全部をそのまま画面にする必要はありません。後工程に渡せて、抜けを防げる項目だけ残します。整備の入庫受付で要るのは、次の7つです。
| 項目 | 残す理由 |
|---|---|
| 受付日時 | 預かりの順番と引き渡しの目安が立つ |
| 名前・連絡先 | 連絡と、過去の入庫履歴のひもづけに使う |
| 車両(車名・登録番号) | 見積・整備記録・請求のすべてが車両でつながる |
| 入庫の理由 | 車検・点検・修理・持ち込みで段取りが変わる |
| 預かりか待ちか | 場内の置き場と作業の優先順を決める |
| 引き渡し予定 | お客さまへの約束。遅れの連絡もここを見る |
| 受付担当 | 聞いた内容の確認先がはっきりする |
この7項目に満了日を加えた形を、まず紙のまま整えてから電子に移すと、画面づくりで迷いません。いまの受付票に項目が多すぎるなら、後工程で誰も使っていない欄を先に削ると、入力が軽くなります。
無料の道具から始め、有料システムへ移る順
受付の電子化は、最初から有料の管理システムを入れなくても始められます。お金をかける前に、無料で使える道具で受付の形を固めるほうが、後の移行が軽くなります。受付の規模に合わせて、次の順で考えます。
段1: 表計算ソフトの共有ファイル
無料のクラウド表計算で受付一覧を1枚作り、店の数人で同時に開きます。受付の7項目を列にして、入った順に行を足すだけです。検索と並べ替えができるので、紙のファイルを繰るより速く前回を呼び出せます。
段2: 無料フォームで受付入力を分ける
受付の入力を無料のフォームにして、回答が表計算へたまる形にします。受付の人が決まった項目を選ぶだけになり、書き漏れと読めない手書きが減ります。お客さまにスマホで入れてもらう使い方もできます。
段3: 有料の整備・顧客管理システム
受付から見積・整備記録・請求までを1つでつなぎたい、車検の満了日で自動の案内を出したい、となったら有料システムへ移ります。段1・2で受付の項目と流れが固まっていれば、移すデータと運用がはっきりしているぶん、定着が速くなります。
費用が気になって有料システムに踏み切れないなら、IT導入補助金が使える場合があります。通常枠では、補助率が2分の1以内(最低賃金近傍で雇用しているなどの条件を満たすと3分の2以内)、補助額は5万円から450万円です。受付だけでなく見積・請求・会計まで含めて入れるときの、費用の見方の一つになります。
有料システムを選ぶときに外さない3点
整備・顧客管理のシステムは数も種類も多く、機能の一覧で比べ始めるときりがありません。受付の電子化を軸に選ぶなら、見るのは次の3点です。
- 受付の入力が、後の見積・請求へそのまま渡るか――受付で入れた車両やお客さまの情報を、見積担当が打ち直さずに使えるか。ここがつながらないと、二度書きが残ったままです。
- 受付の入力が、紙のときより増えないか――1台の受付にかかる手間が、いまの受付票より増えていないか。多機能でも入力が増えると、忙しい朝に後回しになって、結局たまります。
- やめるとき、自分のデータを取り出せるか――受付と顧客の履歴を、後からCSVなどで取り出せるか。出せないと別のシステムへ移りにくくなり、値上げにも弱くなります。
受付を10台ぶん実際に入れてみると、この3点ははっきりします。お試し期間があるなら、画面を眺めるのではなく、本番の受付を入れて確かめてください。
1か月で受付を切り替える進め方
受付の電子化は、1か月だけ区切って試すと、合わなかったときに引き返せます。受付は店の入口なので、ここで止まると全部が止まります。並行で動かして、戻れる道を残しながら進めます。
1週目: 紙と電子を並行で動かす
これまでの受付票を残したまま、電子の受付も同時に動かします。最初の数日は二度になりますが、戻れる安心を確保するためです。受付の人がどこで詰まるかも、ここで見えます。
2〜3週目: 電子を主にして、紙は控えに回す
入力に慣れてきたら、電子の受付を主にして、紙は控えに回します。この時点で受付の人に「入力は増えていないか」「前回を呼び出す時間は減ったか」を一言聞きます。
4週目: 続けるか決める
1か月使って、受付が「前より楽」と言うなら続けます。「手間が増えた」なら合っていないので、項目を削るか別の道具に替えます。ここで無理に続けないことが、次の工程への信頼につながります。
受付の次は、電話とWeb入庫予約へ
受付の電子化が片づいたら、同じやり方で次の工程に広げます。受付の入力先が1つにまとまっていると、電話で入った予約や問い合わせも、そこに起こせます。電話で聞いた名前・車両・希望日を受付の入力にそのまま書き、来店時につなげれば、電話と来店で受付が二重にならずに済みます。
さらに進むと、お客さまがWebから入庫予約を入れる形になります。受付の項目がすでに固まっていれば、Webの予約画面に同じ項目を並べるだけで、入った予約がそのまま受付の一覧にたまります。受付を最初に電子化しておくと、電話の記録もWeb予約も、後から無理なく足せます。逆に受付が紙のままだと、予約を入れても結局は手で受付票に書き写すことになり、二度書きが戻ります。
自店の受付の、どこから電子にするか相談したい
受付票の項目・無料の道具での始め方・有料システムへの移り方。自店の入庫の流れに合わせて、どこから手をつけると効きめが大きいか相談を受け付けます。
相談する(準備中)お問い合わせ窓口は近日開設します。
よくある質問
- 国土交通省「電子車検証特設サイト」(満了日がICタグに記録される根拠として)
https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/ - 国土交通省「自動車の電子的な検査(OBD検査)について」(業務がデジタル前提へ動いている根拠として)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_OBD.html - 中小機構「IT導入補助金 通常枠」(補助率・補助額の根拠)
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/