この記事の結論
先に押さえる3つの事実
有効期間の満了日
ICタグの中だけ
スマホで読むには
Android+専用アプリ
満了日が載った書面
記録事項を渡す
出典: 国土交通省 電子車検証特設サイト(2026-06-03 取得)
目次
  1. 電子車検証で、車検の現場の何が変わったのか
  2. お客さんが必ず戸惑う場面と、窓口での答え方
  3. 「記録等事務委託」を受けると、自店で何ができるか
  4. 委託を受けるかどうかの判断と、申請のしかた
  5. 納車のときにお客さんへ渡すもの・伝えること
  6. よくある質問

電子車検証で、車検の現場の何が変わったのか

車検証は、2023年1月から普通車・小型車で、2024年1月から軽自動車で、電子車検証に切り替わりました。見た目はA4の紙から、A6サイズ(はがき2枚ぶんくらい)の厚紙に変わり、その厚紙にICタグが貼られています。ICタグは、情報を記録した小さなチップのことです。

変わりにくい情報――車台番号や登録番号、初度登録の年月など――は、これまで通り券面に印刷されています。一方で、車検のたびに書き換わる情報は、券面ではなくICタグの中に記録されるようになりました。書き換わる情報の代表が、車検の有効期間の満了日です。

現場でいちばん効いてくるのは、この「満了日が券面から消えた」一点です。お客さんが車検証を手に取っても、券面を見るだけでは次の車検がいつかが分かりません。これまでは「車検証の右下を見れば期限が分かる」で済んでいたものが、そうはいかなくなりました。整備工場の対応も、お客さんへの説明も、この変化から組み立て直すことになります。

お客さんが必ず戸惑う場面と、窓口での答え方

切り替わってからの窓口では、聞かれることがだいたい決まっています。先に答えを用意しておけば、納車のたびに迷わずに済みます。

「次の車検、いつだっけ?」と聞かれたとき

券面には満了日が載っていないので、券面を指さしても答えになりません。満了日を文字で確認できるのは、車検証と一緒にある「自動車検査証記録事項」という書面です。これはICタグの中身を紙に印字したもので、ここに満了日も載っています。お客さんには「期限はこの紙で見られます」と渡せば、その場で解決します。

「スマホで車検証を見たい」と言われたとき

ICタグの中身は、国土交通省が無料で出している「車検証閲覧アプリ」で読めます。読み取りに使えるのは、アプリを入れたAndroid端末(かざして読む機能が要ります)か、パソコンに汎用のICカードリーダをつないだ環境です。iPhoneは読み取りに対応していません。iPhoneのお客さんに「アプリで見られる」と案内すると後で困らせるので、その場合は満了日が載った書面で案内するのが確実です。

うっかり多いのがここです。「期限はアプリで見られますよ」とだけ伝えて渡すと、iPhoneのお客さんは家で読めずに電話してきます。端末を確かめるか、最初から「この紙で見てください」と書面を添えるほうが、結局やりとりが少なくて済みます。

「検査標章(丸いシール)はどこに貼るの?」と聞かれたとき

フロントガラスに貼る検査標章(車検シール)の扱いは、電子車検証になっても基本は変わりません。貼る位置は2023年7月から、運転席側の上のほうへ移っています。期限切れの走行を防ぐ目印として、剥がさずに貼っておくよう一言添えると親切です。

「記録等事務委託」を受けると、自店で何ができるか

車検(継続検査)が通ったあとには、ICタグに新しい満了日を記録し直す作業が発生します。この「記録の書き換え」を、本来は運輸支局や軽自動車検査協会が行います。指定工場が代行検査をした場合でも、ICタグの更新は支局や協会に回るのがもとの形です。この更新を自店で完結できる制度が「記録等事務委託(記録等事務代行)」です。

この委託を受けると、自店でできることが2つ増えます。

あわせて、住所変更などにともなう記録の書き換え(特定変更記録事務)も委託の対象になります。委託を受けていれば、お客さんも自店も支局に出向く場面が減り、車検から納車までを店の中で閉じられます。台数が多い店ほど、支局への往復が回数ぶん効いてきます。

委託を受けるかどうかの判断と、申請のしかた

委託は全店が取らなければならないものではありません。あなたの店の車検台数と、いまの動き方で判断します。

項目 委託を受けない場合 委託を受ける場合
ICタグの満了日の更新 支局・軽自動車検査協会の手続きが必要 自店で完結
検査標章の交付 支局等で受け取る 自店で交付
向いている店 車検台数が少なく、支局・協会で足りる 店内で完結したい(年間車検台数×支局往復の所要時間で試算する)

委託を受けられるのは、指定工場(指定自動車整備事業者)と、登録した認証工場(特定記録等事務代行者)です。申請は、国土交通省の「記録事務代行ポータル」からオンラインで行います。受付は2023年1月から始まっています。軽自動車については、軽自動車検査協会の案内もあわせて確認してください。

判断の目安はシンプルです。車検を主力にしていて自店で完結させたいなら、委託を取る価値があります。車検台数が少なく、これまで支局・協会の窓口で困っていないなら、急いで取る必要はありません。自店の年間車検台数と、支局・協会までの往復にかかる時間を並べて決めてください。

納車のときにお客さんへ渡すもの・伝えること

納車時の渡し方を決めておくと、後からの問い合わせが減ります。次の3点を毎回そろえます。

口で伝えることも決めておきます。「期限は券面に載っていないこと」「紙か、Androidのアプリで見られること」の2つです。これを毎回そろえておけば、半年後に「車検証に期限が書いてない」と電話がかかってくる回数が目に見えて減ります。

受付から車検まで、紙の手間を減らしたい

電子車検証もOBD検査も、紙のままでは回らなくなっています。自店のどこから変えるか相談を受け付けます。

相談する(準備中)

お問い合わせ窓口は近日開設します。

よくある質問

お客さんには電子車検証だけ渡せばいいですか。
電子車検証本体に加えて、満了日が文字で印字された「自動車検査証記録事項」の書面も一緒に渡すと、次の車検の時期をその場で確認してもらえます。電子車検証の券面には満了日が印字されないためです。
うちは認証工場です。記録等事務委託は受けられますか。
指定工場のほか、認証工場も「特定記録等事務代行者」として登録すれば委託を受けられます。申請は国土交通省の記録事務代行ポータルからオンラインで行います。軽自動車は軽自動車検査協会の案内もあわせて確認してください。
お客さんが「スマホで車検証が読めない」と言います。
ICタグの読み取りは、車検証閲覧アプリを入れたAndroid端末か、汎用のICカードリーダをつないだパソコンで行います。iPhoneは読み取りに対応していないため、iPhoneのお客さんには満了日が印字された書面で案内するのが確実です。
紙の車検証はもう発行されないのですか。
普通車・小型車は2023年1月、軽自動車は2024年1月以降の新規・更新分から、車検証は電子車検証になっています。従来のA4の紙の車検証は新たには発行されません。
「自動車検査証記録事項」の書面はいつまでもらえますか。
運輸支局等の窓口での交付には期限が設けられています。これからは、車検証閲覧アプリで記録事項を表示・印刷して渡す運用が中心になります。自店で印刷して渡せるようにしておくと、お客さんへの案内が途切れません。
出典(2026-06-03 取得)