- 基本の年数保存年数は車の使い方で2つに分かれます。自家用乗用のように1年点検の車は記載の日から2年、3か月・6か月点検の事業用や貨物の車は1年です。
- 迷ったら店に来る車種が混ざっているなら、長いほうの2年に合わせて残せば、どの車でも足ります。捨てる日付の管理が一本になります。
- 電子で残す2025年7月に電子保存が解禁。求められたら直ちに画面に出せて紙にも起こせる、という条件を満たせば、紙の控えは持たなくてよくなります。
- 混同に注意認証・指定工場が作る特定整備記録簿は別物で、こちらは2年。日々の記録簿と一緒にしないで分けて持ちます。
あなたの店の車は、2年か1年か
「記録簿って結局、何年残せばいいんだ」。古い記録簿で棚が膨らんできて、捨てていいのか迷う。まずここから片づけます。保存年数は一律ではなく、車の使い方で2つに分かれます。あなたの店に入る車を、この分かれ目に当てはめてください。
分け方は点検の周期です。1年に1回の点検が義務の車は2年、3か月や6か月ごとに点検する車は1年。下の表で、よく入る車種を確かめてください。
| 車の区分 | 定期点検の周期 | 記録簿の保存年数 |
|---|---|---|
| 自家用乗用車(5ナンバー・3ナンバー等) | 1年ごと | 2年 |
| 自家用の小型貨物車(4ナンバー軽以外) | 6か月ごと | 1年 |
| 事業用の車(緑ナンバーのバス・タクシー・トラック等) | 3か月ごと | 1年 |
分かれ目は「点検が1年に1回かどうか」です。1年点検の自家用乗用だけが2年、それ以外は1年と覚えると外しません。店に複数の区分が混ざるなら、後で出てくるとおり、長いほうの2年に合わせて残すのが手間が少ない決め方です。
条文で確かめる、起点は「記載の日から」
年数を決めているのは自動車点検基準の第4条です。条文は「その記載の日から」と起点まで言い切っています。点検した日でも車検を通した日でもなく、記録簿に書き込んだ日から数えます。ここを取り違えると、まだ義務の期間内なのに捨ててしまう事故につながります。
道路運送車両法の第49条が、記録簿を備え付け、記載し、保存することそのものを義務として定めています。年数の中身は点検基準に、義務の根っこは車両法に、と二段になっている形です。年数だけ覚えていると「なぜ残すのか」を聞かれたときに答えに詰まるので、この二段だけは押さえておくと、お客さんやスタッフへの説明がぶれません。
特定整備記録簿は別物、こちらは2年
もう一つ、混ざりやすい記録簿があります。特定整備記録簿です。これは以前の分解整備記録簿にあたるもので、ブレーキや原動機など重要な部分の整備を、認証工場や指定工場が行ったときに作ります。日々の点検整備記録簿とは様式も役割も別で、保存年数は記載の日から2年です。
厄介なのは、保存年数が片方は1年・2年、もう片方は一律2年、という点です。同じ棚に一緒に入れておくと、後から「これはどっちの記録簿だったか」で迷い、まだ残すべき2年のものを1年で捨てる、あるいはその逆が起きます。整備の種類で置き場所を分けておくと、捨てる時期の判断がそのまま分けられて安全です。
- 点検整備記録簿――1年・6か月・3か月点検の記録。年数は2年または1年。
- 特定整備記録簿――ブレーキ等の重要部位を整備したときの記録。年数は2年。
- 2種類を1つのバインダーに混ぜない。種類で分けて、捨てる時期も分けて管理する。
2025年7月に解禁された電子保存で満たすこと
長く、記録簿は紙で持つことが前提でした。整備工場の側はすでにシステムでデータを持っているのに、お客さんには紙で渡すという二重の手間が残っていたわけです。これが2025年7月8日の改正で変わりました。点検整備記録簿の備付けと作成を、紙に代えて電子の記録で行ってよいことになりました。
ただし「データにしてどこかに入れた」だけでは保存になりません。改正が求める条件は、おおむね次の形です。
条件1: 直ちに、はっきり読める状態で出せる
求められたときに、スマホやパソコンの画面にすぐ、明瞭に表示できること。探し出すのに何分もかかる入れ方では、この条件を満たしません。
条件2: 紙にも起こせる
画面に出すだけでなく、必要なときに書面として印刷できること。表示と印刷の両方ができて、初めて紙の代わりとして認められます。
つまり電子保存の肝は、保管ではなく「すぐ出せること」です。あなたの店ですでに業務管理のシステムを使っているなら、記録簿の画面をその場で見せられて印刷もできるか、まずそこを試してください。これが満たせるなら、紙の控えを別に持つ二重管理をやめられます。記録簿を紙で探すのに時間がかかっている店ほど、電子に移す効きめが大きく出ます。
捨てる日付をどう管理するか
年数を正しく覚えても、実際に困るのは「いつ捨てていいか」を1枚ずつ確かめる手間です。区分ごとに1年と2年が混ざると、毎回めくって判断することになります。ここは決め方を一本にすると楽になります。
決め方A: いちばん長い2年に全部そろえる
店に入る車種が混ざっているなら、すべて2年残すと決めます。1年でよいものも2年置くぶん場所は要りますが、捨てる判断が「記載から2年経ったか」の一本になり、めくって区分を確かめる手間が消えます。
決め方B: 区分ごとに棚や色を分ける
事業用の車が多く、保管場所を抑えたいなら、1年の車と2年の車で棚や表紙の色を分けます。電子で持つなら、登録の区分で1年・2年のフォルダを分けておけば、期限の来たものだけまとめて見られます。
場所に余裕があるなら決め方Aが手間は最少です。台数が多く保管を切り詰めたいなら決め方Bが向きます。どちらにしても、判断の基準を「車種ごとに毎回考える」から「決めた一つのルールに当てはめる」へ移すのが、迷いを減らす要です。
監査と車検で求められたとき、すぐ出せるか
保存の本当の目的は、棚に置くことではなく、求められたときに出せることです。緑ナンバーの車を扱う店なら、運輸支局の監査で記録簿の保存はまず見られる書類です。抜けがあれば指摘の対象になります。自家用でも、車検や下取りの場面で整備の履歴を示せると、お客さんへの説明に重みが出ます。
あなたの店で一度、こう自問してください。「いま監査が来て、特定の1台の去年の記録簿を出して、と言われたら、何分で出せるか」。これに即答できないなら、年数を正しく守っていても、保存の目的を満たせていません。紙で探すと時間がかかる店ほど、電子に移して検索で出せる状態にしておく価値があります。紙のまま続けるか電子に移すかは、それだけで一度立ち止まって決めるだけの分かれ道です。
記録簿の保存、自店のやり方で迷ったら
2年か1年か、紙のままか電子に移すか。自店に入る車種と保管の事情に合わせて、外さない決め方の相談を受け付けます。
相談する(準備中)お問い合わせ窓口は近日開設します。
よくある質問
- 自動車点検基準(e-Gov 法令検索・第4条=点検整備記録簿の保存期間)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070 - 道路運送車両法(e-Gov 法令検索・第49条=点検整備記録簿の記載・保存)
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185 - 国土交通省 報道発表「時代に合わせた整備事業規制のアップデート」(令和7年7月8日・電子点検整備記録簿の解禁)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000341.html