- 時間の出どころシフト作成が重いのは、組む作業そのものより、あなたが希望休を一人ずつ聞いて回り、メモを突き合わせる前半の手間が大きいから。
- 減らす順①希望の出し方を1つの表に決める ②先に埋まる枠(固定休・必要人数)を出す ③残りを組む。この順で分けると、半日が1時間前後まで減らせます。
- 任せる線必要人数・希望休・時間外の上限は機械で確かめさせ、誰と誰を同じ日にするかは最後に手で直す。叩き台は機械、仕上げは人。
- 急ぐ理由整備士の有効求人倍率は5.45倍(令和6年度)で全職業平均1.25倍の約4.4倍。雇うのが難しい以上、残る社員の希望を丁寧に組むことが定着に効きます。
シフト作成の時間は、どこで消えているか
月末になると、あなたは事務所で社員一人ずつに「来月の休み希望は」と聞いて回り、もらったメモを並べて、空いた枠をパズルのように埋めていく。気づくと半日が消えている。整備工場のシフト作成で時間を取られているのは、多くがこの場面です。
ここで大事なのは、重いのが「組む作業」だけではない点です。希望を聞いて回る往復、口頭で聞いた内容の書き写し、後から来た「やっぱりこの日休みたい」の差し替え。組む前の段取りに、まとまった時間が消えています。だから先に手をつけるのは、組み方の工夫より、希望をどう集めるかのほうです。
最初に直すのは、希望の集め方
希望の集め方を変えるだけで、あなたが聞いて回る時間はほぼ消えます。やり方は1つに絞ります。締め日を決めて、社員が同じ1枚の表へ自分で書く形にします。
締め日を1つ決める
「毎月25日までに来月の希望を出す」と決めます。締め日を過ぎたら、出していない人は出勤扱いで組む、と先に伝えておくと、催促の手間も消えます。
書く場所を1か所にする
休憩室に貼った紙でも、共有のExcelでも、まずは1か所に統一します。複数の場所に散らばっていると、あなたが集めて回る往復が残り、肝心の時間が減りません。
出してほしい項目を3つに固定する
「休み希望日」「早番・遅番の希望」「絶対に出られない日」の3項目だけに絞ります。自由記入を増やすと読み解きに時間がかかるので、選ぶだけで済む形にします。
この時点ではシステムを入れる必要はありません。紙やExcelのままでも、集め方を決めるだけで前半の手間は大きく減ります。あなたの店で一番ありがちなのが「口頭で聞いて回っている」なら、まずここを直すと効きめがすぐ出ます。
先に埋める枠から組む、やり直しを減らす段取り
希望が1枚に集まったら、組む順番を決めます。空いた枠を端から埋めていくと、後で必要人数が足りずに組み直しになります。動かせない枠から先に固定すると、やり直しが減ります。
| 順番 | 先に決めること | 見るもの |
|---|---|---|
| 1番目 | 日ごとの必要人数 | 車検の入庫予定・曜日ごとの来店の波 |
| 2番目 | 動かせない枠 | 承認した希望休・定休・通院などの固定予定 |
| 3番目 | 残りの枠の割り当て | 早番・遅番の希望・資格や担当の偏り |
1番目の必要人数を先に出すのが肝心です。車検の繁忙期と閑散期では、1日に置きたい整備士の数が変わります。月初に「この日は3人、この日は2人」と必要人数を先に書いてしまえば、後の割り当てが楽になります。承認した希望休を2番目で固定し、最後に残りを埋めれば、足りない日が早く見つかります。
時間外の上限を、組みながら見る
シフトを組むときに、もう1つ手で確かめているのが残業の累計です。時間外労働の上限は法律で決まっていて、原則は月45時間・年360時間です。中小企業にも2020年4月から適用されています。繁忙期に特定の整備士へ仕事が偏ると、この上限に近づきます。
手作業では、月末になって「この人、もう45時間を超えそうだ」と気づき、慌てて組み直すことになりがちです。組む途中で一人ずつの累計が見えていれば、偏る前に別の日へ回せます。紙やExcelでも、社員ごとに月の合計時間を出す欄を1つ足すだけで、後追いの組み直しが減ります。上限の管理を法律の側が求めている以上、合計時間を見ながら組む形は、いずれ避けて通れなくなります。
手作業で続けるか、システムに任せるか
ここまでの段取りは、紙やExcelのままでも回せます。では、いつシステムに任せると楽になるのか。判断は「何が増えてきたか」で分かれます。
- 必要人数が日ごとに変わる――車検の波で「この日は3人、この日は2人」が毎月変わるなら、人数の確認を自動でやってくれる仕組みが効きます。
- 急な交代が月に何度も入る――「明日休ませてほしい」が頻繁なら、誰が代われるかを一覧で出せる機能で探す時間が減ります。
- 時間外の累計を毎回手で足している――社員ごとの合計を自動で出してほしいなら、シフト機能のあるシステムが向いています。
任せ方には線を引きます。自動で組ませるのは「必要人数を満たす」「希望休を外さない」「上限時間を超えない」という、機械で確かめられる条件まで。誰と誰を同じ日に組むと現場が回るか、新人にベテランを必ず付けるか、といった呼吸は、あなたが最後に手で直すほうが現実的です。叩き台を機械に作らせ、仕上げを人がやる切り分けにすると、時間が減って質も落ちません。
急な交代に強い表にして、定着につなげる
シフト作成を楽にする話は、社員に長く働いてもらう話と一続きです。整備の人手は増やしにくい状況が続いています。自動車整備士の有効求人倍率は令和6年度(2024年度)で5.45倍と、全職業平均の1.25倍を大きく上回り、新しく雇うのは簡単ではありません。整備要員の平均年齢も令和5年度で47.2歳まで上がっています。雇うのが難しいなら、いまいる社員に辞められない工夫のほうが効きます。
希望休がきちんと通る、急な事情で休みたいときに代わりが見つかる、特定の人だけに残業が偏らない。この3つが守られているシフトは、社員にとって働きやすさそのものです。あなたが組み方を整えることは、回り道に見えて、定着に直接効きます。シフトを組む半日を減らすことと、社員に長くいてもらうことは、別々の話ではありません。
自店のシフト作成、どこから楽にできるか相談したい
希望の集め方・組む順番・システムに任せる線引き。自店の人数と車検の波に合わせて、どこから手をつけると効きめが大きいか相談を受け付けます。
相談する(準備中)お問い合わせ窓口は近日開設します。
よくある質問
- 厚生労働省「時間外労働の上限について」(原則 月45時間・年360時間、中小企業は2020年4月適用)
https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html - 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)「令和5年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」(整備要員の平均年齢 47.2歳)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R05jittaityousa.pdf - 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「自動車整備士」(有効求人倍率 令和6年度 5.45倍・常用パート含む)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/197 - 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年度分及び令和7年3月分)」(全職業平均の有効求人倍率 令和6年度 1.25倍)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57261.html