なぜ同じ制作で見積もりが10倍も開くのか
あなたが受け取った見積もりの差は、業者が安く見せようとした結果でも、ぼったくりでもなく、含まれる作業の量から来ています。「ホームページ制作」を頼むとき、その中には次のような別々の仕事がまとめて入っています。
- 設計:どんなページを何枚作り、何を載せるかを決める仕事。
- 原稿:載せる文章を書く仕事。店側が書くか、業者が取材して書くかで手間が変わります。
- 写真:店構え・ピット・スタッフを撮る仕事。撮影に来るか、フリー素材で済ませるかで差が出ます。
- デザイン:見た目を整える仕事。既製のテンプレートを使うか、店に合わせて一から作るか。
- 組み立て:実際にページとして動くように作る仕事。
12万円の見積もりはテンプレートに店の情報を流し込むだけで、写真も原稿も店任せ。120万円の見積もりは撮影に来て、原稿も取材して書き、見た目も一から作る。同じ「制作」でも、入っている作業がまるで違います。総額だけを並べても比べられません。どこまでの作業が入っているかをそろえて見るのが先です。
制作費の帯と、その中身
含まれる作業の量で、制作費はおおむね3つの帯に分かれます。自店がどの帯に発注すべきかを決めるために、それぞれが何を買うものかを並べます。
| 帯 | 制作費の目安 | 入っている作業 | 向く店 |
|---|---|---|---|
| 軽い | 10万〜30万円 | テンプレートに情報を流し込む。原稿・写真は店側が用意。スマホ表示はものによる | 名刺代わりに最低限を出したい店 |
| 標準 | 40万〜80万円 | 取材して原稿、撮影に来て写真、料金・車検の流れ・問い合わせ口まで構成して作る | 新規の問い合わせを取りたい整備・車検店 |
| 作り込む | 100万円超 | 独自デザインに加え、ネット予約・問い合わせの仕組みまで組む | 台数が多い・複数店舗・予約を回したい店 |
多くの整備・車検店が新規の問い合わせを取るために要るのは、真ん中の標準の帯です。軽い帯は、写真がフリー素材のままだと「どんな店か分からない」で候補から外れがち。作り込む帯は、予約を大量にさばく規模でないと払った分を使い切れません。自店の入庫の取り方に合わせて帯を選びます。
制作費だけ見ると見誤る ― 続く保守費
見積書には最初に払う制作費が大きく載りますが、もう一つ、毎月続く費用があります。保守・管理費です。サーバー代、不具合への対応、文章や写真の差し替えなどが含まれ、月数千円〜2万円ほどが一般的です。ここを見落とすと、3年の総額を読み違えます。
- 制作費:60万円(最初の1回)
- 保守費:月1万円 × 36か月 = 36万円
- 3年の総額:60万 + 36万 = 96万円
- 制作費が同じ60万円でも、保守が月5千円の業者なら3年で18万円。総額78万円で、18万円の差が出ます。
つまり制作費だけで安い高いを決めると、毎月の保守費で逆転することがあります。見積もりを並べるときは、制作費と保守費を足した3年の総額で見比べてください。お知らせや料金の差し替えを自分でできる作りにしておくと、毎月の保守費を抑えられます。
安い見積もりに隠れているもの
10万円台の見積もりを見ると、安く済むなら、と気持ちが動きます。安いこと自体は悪くありません。問題は、安さの理由を確かめないまま発注することです。安い見積もりは、次のどれかで安くなっていることがあります。
- 写真がフリー素材のまま。よその工場の写真が並び、自店の様子が伝わりません。
- 原稿は店側が全部書く。書く時間が取れず、中身の薄いページのまま公開されがちです。
- スマホ表示が崩れる。整備・車検を探す人の多くがスマホです。
- 更新は別料金。あとから料金を直すたびに費用がかかります。
来店前にホームページを開くのは、ほとんどがスマホからです。総務省の通信利用動向調査では、個人がインターネットを使う端末はスマートフォンが74.4%で、パソコンの46.8%を大きく上回ります。スマホで崩れて読めないホームページは、その時点で候補から外れます。安い見積もりにスマホ表示が入っているかは、必ず確かめてください。
12万円で作っても、来た人がひと目で何の店か分からず、料金も問い合わせ口も見えなければ、その12万円はまるごと無駄になります。反対に、必要な中身が入った60万円のホームページから月に1件でも車検が入れば、すぐ元が取れます。安いかどうかより、来た人が頼めるかどうかで見ます。
見積書を見比べる5点
業者ごとに書き方がばらばらの見積書を、同じものさしで並べます。次の5点を業者ごとに埋めると、総額の高い安いに惑わされず、中身で比べられます。
| 見る点 | 確かめること | なぜ効くか |
|---|---|---|
| 対象作業 | 設計・原稿・写真・デザイン・組み立てのどこまでが制作費に入っているか | 同じ作業範囲にそろえて初めて総額を比べられる |
| 写真と原稿 | 撮影に来るか・取材して書くか。店側が用意する分はどれか | 店側の手間と、ページの中身の濃さがここで決まる |
| スマホ表示 | スマホで崩れず読める作りか | 来店前に見るのはほぼスマホ。崩れると候補から外れる |
| 毎月の保守費 | 月いくらか。何が含まれるか。3年の総額で比べる | 制作費が同じでも保守費で総額が逆転する |
| 更新のしやすさ | 料金やお知らせを自分で直せるか。直すたびに別料金か | 自分で直せれば毎月の費用と手間が減る |
この5点をそろえると、12万円・58万円・120万円が「何にいくら払っているか」で見えてきます。58万円が標準の帯で必要な作業を全部含み、120万円が予約の仕組みまで含むなら、入庫の取り方によっては58万円で足ります。
自店はいくらに発注するか
最後に、あなたの店がどの帯に発注するかを決めます。整備の現場は数で見ても厚い市場です。日本自動車整備振興会連合会の調べでは、全国の自動車特定整備事業場は92,384、整備要員は402,025人、総整備売上は6兆2,561億円。これだけの店が同じ商圏で入庫を取り合い、その入り口の一つがホームページです。値段で決めるより、入庫の取り方で帯を選びます。
- 名刺代わりに最低限を出したいだけなら、軽い帯(10万〜30万円)。ただし写真は自店で撮ったものを必ず入れます。
- 「地名 車検」「地名 整備工場」で見つけてもらい、新規の問い合わせを取りたいなら、標準の帯(40万〜80万円)。多くの店はここです。
- 台数が多く、ネット予約で入庫を回したいなら、作り込む帯(100万円超)。
古い車ほど車検・整備が増え、その客が頼り先を探します。自動車検査登録情報協会の調べでは、2025年3月末で乗用車の平均車齢は9.44歳と、33年連続で上がり続けています。長く乗る客が増えるほど、ホームページで「ここに頼もう」と思わせられるかが入庫を分けます。金額より、来た人が頼める中身が入っているかで発注先を決めるのが、払いすぎも失敗も避ける道です。発注した先で何を載せれば問い合わせが来るかは、反応のないホームページが直す4点でまとめました。
よくある質問
整備工場のホームページ制作費の相場はいくらですか。
なぜ同じホームページ制作で見積もりがこんなに開くのですか。
毎月の保守費はどれくらいかかりますか。
とにかく安い見積もりに発注して大丈夫ですか。
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」インターネット利用(端末別インターネット利用率は個人でスマートフォン74.4%、パソコン46.8%)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd21b120.html - 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」(2025年3月末現在。乗用車の平均車齢9.44歳で33年連続上昇)
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html - 日本自動車整備振興会連合会「令和6年度 自動車特定整備業実態調査」(事業場92,384・整備要員402,025人・総整備売上6兆2,561億円)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R06jittaityousa.pdf
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