この記事の結論
判断の材料になる数字
整備士の有効求人倍率(2024年度)
5.45倍
全職種平均との差
約4.4倍ひらく
Web受付が拾う時間帯
出られない時間
出典:厚生労働省・国土交通省資料(本文末尾に記載)
目次
  1. 電話で消えているのは「出られない時間」
  2. 人手が足りないほど、電話に出る人がいなくなる
  3. 入れる前に確かめる3点
  4. 入れて回るか、回らないかの分かれ目
  5. 予約サイトか、自店のフォームか
  6. 制度がデジタル前提へ動く、その入口に予約をつなぐ
  7. よくある質問

電話で消えているのは「出られない時間」

リフトの下から滑り出て手を拭き、3コール目で受話器を取ったら、もう切れている。あなたの店でも、こういう瞬間が日に何度かあるはずです。電話そのものが悪いのではありません。問題は、あなたが出られない時間に鳴った1本が、どこにも残らずに消えることです。

整備中、点検でラインに入っているとき、昼休み、閉店後。これらの時間にかかってきた電話は、留守番電話に入れてくれる人ばかりではありません。出なければ、相手はそのまま次に見つけた店へかけ直します。あなたが知らないところで、車検1台ぶんの整備売上が他店へ移っているわけです。Web入庫予約を入れるかどうかは、突き詰めるとこの「出られない時間」を拾うか拾わないかの判断になります。

最初に見るべきは、フォームの見た目でも料金でもありません。あなたの店で、電話に出られない時間がどれくらいあるか。そこを直視するところから始めます。

人手が足りないほど、電話に出る人がいなくなる

「電話は今のままでいい、出られるから」と感じている店ほど、ここ数年で出られなくなってきています。理由は、整備の現場が人手で詰まってきているからです。自動車整備・修理工の有効求人倍率は、2024年度(令和6年度)に5.45倍まで上がりました。全職種の平均が1.25倍ですから、整備士は1人を平均の約4.4倍で取り合っている計算です。

人が増えないまま入庫だけが続けば、受付に専任を置く余裕は消えます。整備士が手を止めて電話に出る、あるいは出られずに鳴らしっぱなしにする、このどちらかになります。手を止めれば作業が遅れ、鳴らしっぱなしにすれば予約が逃げます。人手が薄いほど、電話の取りこぼしは増えます。

採用で人を足して受付を厚くする道は、いまの倍率では時間もお金もかかります。それより先に、出られない時間の予約だけでも自動で受け止めておくほうが、あなたの手はずっと軽くなります。Web受付は、足りない人手の代わりに「箱」で受ける考え方です。

入れる前に確かめる3点

Web入庫予約を入れて効くかどうかは、機能の数では決まりません。次の3点に自店の言葉で答えられるかどうかで、入れて回るか、入れただけで放置になるかが分かれます。

確かめる1: 出られない時間に、どれくらい鳴っているか

1週間でいいので、出られなかった着信の数を電話機の履歴で数えてみてください。整備中・昼休み・閉店後に何件あったか。ここがほぼゼロなら、急いで入れる必要はありません。週に何件もあるなら、その数だけ予約を逃している計算になります。

確かめる2: 受けた予約を、誰がいつ確認するか

Webで受けても、気づくのが翌々日では電話より遅くなります。届いた予約を、あなたか担当者が朝いちで見る、と決められるか。スマホに通知が来る形にできるか。確認の担当と時刻が決まっていないなら、入れる前にそこを決めます。

確かめる3: いっぱいの日を、どう止めるか

受け過ぎて当日に入りきらないのも取りこぼしと同じです。1日に受ける台数の上限を決め、埋まった日は申し込めないようにできるか。手動で枠を閉じる運用でも構いませんが、誰がいつ閉じるかは先に決めておきます。

3点とも「これならできる」と思えたら、あなたの店はWeb受付を入れて回ります。1つでも詰まるなら、まずその段取りを決めてから入れたほうが、後の手戻りが減ります。

入れて回るか、回らないかの分かれ目

同じようにWeb予約を入れても、片方は楽になり、片方は二度手間が増えます。違いは仕組みではなく、受けた後の段取りにあります。下の表で、自店がどちらに近いかを当てはめてみてください。

場面 回らない店の状態 回る店の状態
予約が届いたとき 気づくのが翌日以降。確認担当が曖昧 通知が届き、朝いちで担当が確認する
枠の管理 上限なし。当日に入りきらず断る 1日の台数上限を決め、埋まれば止まる
電話との関係 電話とWebで台帳が二重になり、ダブルブッキング 受付の置き場所を1つに寄せ、二重を防ぐ
お客さんへの返事 受けたきり連絡せず、不安にさせる 受付した旨を自動か当日に返す

表の左側は、Webにした分だけ新しい取りこぼしを生んでいる状態です。右側との差は、お金をかけた機能ではなく、確認・枠・置き場所・返事という4つの段取りを決めてあるかどうかです。あなたの店がいま左に近いなら、入れる前にこの段取りを先に固めてください。

電話とWebの台帳は1か所に寄せる。電話で受けた予約とWebで受けた予約を別々のノートに書くと、同じ枠を二重に埋めてしまいます。最初に「予約はここを見れば全部わかる」という置き場所を1つ決めてから入れると、二重の事故が起きません。

予約サイトか、自店のフォームか

受け方には、予約の仕組みが入った専用のものと、自店サイトに置く簡単なフォームの2つがあります。どちらが向くかは、受けたい予約の細かさで決まります。

最初から多機能なものを選ぶ必要はありません。確かめる3点に答えられているなら、簡単なフォーム1枚でも、出られない時間の取りこぼしは止まります。回り始めてから、足りない機能を足していく順序のほうが、現場が嫌がりません。仕組みを選ぶときの基準そのものは、整備管理システム、機能の多さで選ばないでも詳しくまとめています。

制度がデジタル前提へ動く、その入口に予約をつなぐ

「いつか入れよう」で止まりがちな話ですが、制度のほうが先にデジタル前提へ動いています。車検証は2023年から電子車検証になり、有効期間の満了日は券面ではなくICタグの中に入りました。満了日を店側が読み取り、案内する場面が増えています。

満了日の案内を出すとき、その文面に「ここから予約」を1本つけておくと、案内を見たお客さんがその場で予約まで進めます。案内は出すのに予約の入口が電話だけだと、「あとでかけよう」と思っているうちに忘れられ、せっかくの案内が取りこぼしに変わります。電子車検証への切り替えや、店としてやることの整理は、電子車検証、整備工場は何をすればいいかにまとめています。制度対応と入庫予約は、別々の話ではなく一続きで考えると、手を入れる順番が見えてきます。

自店に入れて回るか、相談したい

出られない時間にどれだけ鳴っているか、受けた後の段取りをどう組むか。自店の状況に合わせて、Web入庫予約を入れる順番の相談を受け付けます。

相談する(準備中)

お問い合わせ窓口は近日開設します。

よくある質問

電話のほうが早い気がします。Web受付を入れる意味はありますか。
あなたが電話に出られる時間帯だけを見れば、電話のほうが速いこともあります。問題は出られない時間です。整備中・点検中・昼休み・閉店後にかかった1本は、留守電に入らずそのまま次の店へ流れます。Web受付は、その出られない時間に予約を受け止める箱として効きます。電話を捨てる話ではなく、取りこぼしていた時間を拾う話です。
うちのような小さな店でも回りますか。
回るかどうかは規模より運用で決まります。受けた予約を誰がいつ確認するか、いっぱいの日をどう止めるか、この2つが決まっていれば1人の店でも回ります。逆に、申し込みが入っても気づかない・確認が翌々日になるなら、Webにした分だけ別の取りこぼしを作ります。フォームの見た目より、受けた後の段取りを先に決めてください。
予約サイトとお店のホームページのフォーム、どちらがいいですか。
受けたい予約の中身で変わります。日時の枠を細かく押さえたい、点検メニューを選ばせたい、台数の上限を自動で止めたいなら、予約の仕組みが入った専用のものが向きます。まずは取りこぼしを止めたいだけなら、自店サイトに車種と希望日を書く簡単なフォームを置くところから始めて差し支えありません。あとから乗り換えられるよう、入った予約のデータを自分で取り出せるものを選んでください。
車検証が電子になったことと、入庫予約は関係ありますか。
つながっています。2023年から電子車検証になり、有効期間の満了日は券面ではなくICタグの中に入りました。満了日を店側が把握して案内する場面が増えるほど、その案内に「ここから予約」を1本つけておく価値が出ます。制度のほうがデジタル前提へ動いている流れの中で、予約の入口だけ電話のままだと、案内と予約の間で取りこぼしが残ります。
参考(2026-06-04 取得)