- 先に数えるカタログで機種を選ぶ前に、自店の入庫にOBD検査の対象車がどれだけ来ているかを数える。対象は国産が2021年10月以降、輸入車が2022年10月以降の新型車です。
- 買う前の3点確かめるのは①対象車が自店に来ているか②指定工場として車検を自店で完結させるか③補助金の上限15万円に収まるか、の順。
- 機種の条件検査用スキャンツールは、日本自動車機械工具協会の一覧に載った機種でなければOBD検査に使えません。手元の汎用診断機では通りません。
- 費用の山を下げる国の補助金は補助率3分の1・1事業場あたり上限15万円。先着順で予算切れがあるため、申請できる時期に合わせて買うと自己負担が軽くなります。
機種を選ぶ前に、自店の対象車を数える
「OBD検査の機器、何を買えばいいか」と機種比較から入ると、高い買い物になりがちです。先に手をつけるのは、自店の入庫に対象車がどれだけ来ているかを数えることです。OBD検査の対象は、国産が2021年10月1日以降の新型車、輸入車が2022年10月1日以降の新型車です。あなたの店の車検入庫が古めの車中心なら、対象車はまだ少なく、すぐに全部を揃えなくても回ります。
数え方は難しくありません。直近3か月ぶんの車検の入庫台帳を見て、登録年が新しい型式の車が何台あったかをざっと拾います。対象車が月に数台なら準備の優先度は中くらい、毎週のように入っているなら早めに動く、という目安が立ちます。先に数を押さえておくと、補助金の上限に収まる範囲で買うか、いったん見送るかの判断がぶれません。
買う前に確かめる、順番のある問い
機器を揃えるかどうかは、好みではなく次の問いを順に確かめて決めます。順番が大事で、上から見ていくと「そもそも自店は買う必要があるか」がはっきりします。
1点目: 対象車が自店に来ているか
前の章で数えた台数がここに効きます。対象車がほとんど来ていないなら、機器を急いで買う理由は薄いです。逆に毎週入っているなら、車検を止めないために優先して揃えます。
2点目: 自店で車検を完結させるか
指定工場として自店の検査ラインで車検を完結させているなら、対象車のOBD検査も自店で行うので機器が要ります。認証工場で完成検査を陸運支局に持ち込んでいる場合は、自店に機器がなくても回せる場面が残ります。どちらの立場かで必要性が変わります。
3点目: 補助金の上限に収まるか
国の補助金は1事業場あたり上限15万円、補助率は3分の1です。買おうとしている機種の見積りと補助金を突き合わせ、自己負担がいくら残るかを先に出します。上限を大きく超える構成なら、本当にその機能が要るかを買う前に問い直します。
あなたの店がこの3点でどう答えるかによって、すぐ買う・補助金の時期を待って買う・当面は外へ回す、の3つに分かれます。機種カタログを開くのは、この3点を通り抜けてからで十分です。
どの機種なら使えるか ― 一覧と構成の見方
OBD検査に使えるのは、どの診断機でもよいわけではありません。確かめる点は機種一覧・構成・動く環境の3つです。表で整理します。
| 確かめる点 | 見るところ | 外すとどうなるか |
|---|---|---|
| 機種一覧 | 日本自動車機械工具協会が公表する検査用スキャンツールの一覧に載っているか | 一覧外の汎用診断機ではOBD検査に使えず、買い直しになる |
| 構成(VCI) | 車両とつなぐ通信インターフェースの型式が、検査に使える組み合わせか | 本体は合っていてもつなぐ部分が違うと検査が通らない |
| 動く環境 | 特定DTC照会アプリが、自店のパソコンとネット環境で動くか | 機器はあってもアプリやネットが整わず、検査当日に止まる |
OBD検査は、機器で読み取った故障コードを、自動車技術総合機構が用意した特定DTC照会アプリを通してサーバーへ送り、結果を受け取る流れです。だからスキャンツール単体ではなく、アプリとネット環境までを一組として見ます。機種を1台に絞る前に、この一組がそろうかを店のパソコンで一度試しておくと、検査当日に慌てません。
補助金で自己負担をどこまで下げられるか
機器は安い買い物ではないので、国の補助金を使えるかどうかで自己負担がだいぶ変わります。国土交通省のスキャンツール補助事業は、補助率が3分の1、1事業場あたりの上限が15万円です。スキャンツール本体だけでなく、使いこなすための研修受講費も補助率3分の1・上限1万円で対象になります。
注意したいのは、予算がなくなり次第終了の先着順だという点です。年度ごとに予算額や申請期間、補助の細かい条件が変わるため、買う前に国土交通省の最新の発表で今の補助内容と受付期間を確かめてから動きます。対象になるのは原則として年度の指定日以降に購入・受講した分なので、買う時期と申請の順番を取り違えると補助を取り損ねます。
- 補助率は3分の1、1事業場あたり上限15万円。研修受講費も補助率3分の1・上限1万円で別に対象。
- 先着順で予算切れがあるため、申請できる時期に合わせて買う段取りを組む。
- 購入や受講の前に、対象期間と申請窓口を国土交通省の最新発表で確かめる。
買わずにしのぐ選択肢も残っている
対象車が自店にまだ少ないなら、無理に今すぐ買わない道もあります。対象車の車検だけ、近隣の指定工場や陸運支局に回すという手です。自店ですべてを完結させたい気持ちはあっても、月に数台のために機器一式と研修費を先に負担するのが見合わないこともあります。
ただし外へ回す前提でいくなら、その車のお客さんを手放さない受け渡しの段取りが要ります。預かりと引き渡しの日程、検査ぶんの費用の説明を、いつものお客さんが不安にならない形で組みます。対象車の比率が増えてきて、外へ回す手間と費用が機器を持つ負担を上回ったときが、自店で揃える切り替えどきです。数えた台数を定期的に見直して、その線を越えたら買う、と決めておくと判断が楽になります。
揃える順番と、買うタイミングの決め方
揃えると決めたら、いっぺんに全部ではなく順番をつけます。最初に要るのは、対象車のOBD検査を自店で通すための一組です。本体・通信インターフェース・特定DTC照会アプリが動くパソコンとネット環境を、まず一通りそろえます。研修は機器が届いてから受けても間に合いますが、補助の対象期間に合わせて先に申し込んでおくと取りこぼしません。
買うタイミングは、補助金の申請期間と自店の対象車の増え方の2つで決めます。補助の受付が開いている時期に、対象車が増え始めた手応えがあるなら、そこが買いどきです。あなたの店の入庫構成によって最適な時期は違うので、数えた台数と補助の発表を毎年見比べて決めます。電子車検証やOBD検査のように、制度のほうが先に変わっています。一度そろえておけば、次の制度変更が来ても一から揃え直さずに済みます。
よくある質問
- 国土交通省「自動車の電子的な検査(OBD検査)について」(本格運用開始日・対象車)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_OBD.html - 国土交通省「OBD検査を実施するにあたって(整備事業者向け)」(指定工場が検査用スキャンツールを備える必要)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_OBD_company.html - OBD検査ポータル(自動車技術総合機構)「OBD検査で使用する機器」(特定DTC照会アプリ・検査用スキャンツールの構成)
https://www.obd.naltec.go.jp/mainte/device/ - 国土交通省「令和6年度スキャンツール補助事業を開始します」(補助率3分の1・1事業場上限15万円・研修受講費上限1万円)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000321.html