Q.仕入れから売れるまでが長いと、何が起きるか
仕入れたはずの車が、なかなか展示に出ない。出たと思っても、問い合わせが来ないまま月をまたぐ。あなたの店でも、入庫日を1台ずつ追えていない車が何台かあるはずです。仕入れに使った現金は、その車が売れるまで動きません。販売期間が長いほど、同じ現金で回せる台数が減り、次の仕入れに手が出せなくなります。
長く置いた車ほど、時間とともに値が落ちます。年式は古くなり、同じ車の店頭相場は下がっていきます。仕入れたときの値札のまま置くと、相場との差が開いて、ますます売りにくくなります。動かないから値を下げ、下げても遅いから粗利が消える。この流れに入る前に、販売期間という1つの軸で在庫を見直します。
ここで決めるのは1つです。仕入れから売れるまでの日数を、どこから縮めるか。値付けに飛びつく前に、入口(仕入れ)・商品化・店頭のどこで日数を失っているかを切り分けます。詰まっている工程を1つずつ通せば、滞留が生まれる前に車が動き始めます。
Q.販売期間を3つの日数に分解する
「販売期間が長い」とまとめてしまうと、打ち手が選べません。仕入れから売れるまでを3つの日数に割って、どこで止まっているかを特定します。在庫日数そのものの出し方は 中古車の在庫が回らない店の数字の見方 で扱っており、ここではその日数を工程ごとに分けて見ます。
3つの日数に割る
1台ごとに、入庫日・展示開始日・成約日の3つを記録します。入庫から展示までが「商品化の日数」、展示から成約までが「店頭の日数」です。仕入れの選び方は入庫前に効くので、日数ではなく車種ごとの実績で見ます。直近で売れた車を10台ほど並べれば、自店がどこで時間を取られているかが浮かびます。
| 区分 | 測り方 | 長いときに疑う原因 |
|---|---|---|
| 商品化の日数 | 入庫日 → 展示開始日 | 整備・撮影の後回し、順番待ち |
| 店頭の日数 | 展示開始日 → 成約日 | 写真・掲載・展示位置、値付け |
| 仕入れの選び方 | 売れた車の車種・日数の記録 | 回らない車・相場の読めない車 |
商品化の日数が長ければ整備と撮影の段取り、店頭の日数が長ければ見せ方と値付け、両方とも長ければ仕入れの選び方から見直します。分けて出すだけで、手を付ける場所が決まります。
Q.入口で決まる ― 回る車を選んで掴む
販売期間は、仕入れた瞬間に大きく決まります。回らない車を安く掴んでも、出口で時間と現金を失います。入口で回る車だけを選べば、後の工程で苦労する車が減ります。
選ぶ基準は、自店の販売実績です。過去に短い日数で売れた車種・年式・色を記録し、それに近い車を狙います。相場が読めない珍しい車や、自店の客層に売り先が浮かばない車は、安く出ていても見送ります。仕入れの線引きと上限価格の決め方は オートオークションでの仕入れ で扱っています。
- 過去に自店で短い日数で売れた定番車に寄せる ― 売り先が浮かぶ車から選ぶ
- 相場のはっきりした車に絞る ― 想定販売価格と売れる日数を見通せる
- 珍しい仕様・読めない車は見送る ― 安くても出口で滞留しやすい
Q.商品化を止めない ― 入庫したら即日着手
仕入れた車が展示に出るまでの日数は、社長が直接縮められる場所です。ここが詰まる店は、入庫した車を「あとでまとめてやる」順番待ちにしています。整備の予約が先まで埋まり、撮影は手が空いたとき。気づくと、売れる車が裏に積まれたまま1週間、2週間と止まります。
防ぐ手は、入庫したその日に商品化へ着手する段取りです。整備の枠を仕入れ台数に合わせて先に空けておく。撮影は入庫当日に済ませ、掲載用の写真をその場で揃える。展示に出していない車は、いくら良い車でも売れません。商品化の日数を縮めるほど、同じ車がより早く店頭に立ちます。
Q.店頭で出遅れない ― 60日以内の展示手当て
展示に出した車が動かないとき、原因は車そのものより見せ方にあることがあります。掲載写真が暗い、枚数が少ない、装備の記載が薄い。展示位置が奥で目に入らない。ここを直すだけで反応が変わる車は珍しくありません。費用がほぼかからず粗利も守れるため、値下げの前に必ず通します。
大事なのは、手を打つ時期です。展示から60日を過ぎると動きが鈍り、91日を超えると滞留に落ちます。まだ売れる気がして60日を見送ると、値下げでしか動かない車に変わります。展示の手当ては、滞留に落ちる前の早い時期にこそ効きます。掲載写真の枚数と明るさ、装備記載、展示位置の3つを、60日に届く前に点検します。
| 展示からの日数 | 状態 | 取る手当て |
|---|---|---|
| 0〜60日 | 標準の範囲 | 写真・掲載・展示位置を整えて待つ |
| 61〜90日 | 動きが鈍い。要注意 | 展示の見直し・問い合わせ対応の点検 |
| 91日以上 | 滞留。現金を縛っている | 値付けの見直し → 出口の判断 |
Q.それでも動かない車の値付けと出口
商品化を急ぎ、展示を直しても止まる車があります。ここで初めて値付けを見直します。同じ車種・年式・走行の車が、いまいくらで並んでいるか。自店の値札がそこから外れていれば、相場に寄せます。値下げは粗利を削るので、相場とのずれが明確な車に絞って使います。
91日を超えた車は、これ以上置いても値が下がるだけです。自店で売り切る期限を決め、超えたら業者オークションへ出すか、専門店に流して現金に換えます。薄い粗利でも、縛られていた現金を引き出せば、次の回る車を仕入れる元手になります。出口を先に決めておくと、判断が遅れて損失が膨らむのを防げます。
Q.仕入れが高い相場で、日数管理が効く理由
いまは仕入れが高い局面です。2025年の中古車登録・届け出台数は前年比0.2%減の648万7868台で、3年ぶりのマイナスでした(出典1)。海外への輸出が強く、国内で出回る玉が不足し、取引相場は高止まりが続いています(出典2)。背景には、長く乗られる車が増えて買い替えが後ろにずれていることもあります。乗用車の平均車齢は9.44年で、33年連続の高齢化となりました(出典3)。
高く仕入れた車を高い値札のまま長く置くと、滞留の損失も大きくなります。仕入れ単価が上がる局面ほど、販売期間を短く保つことが現金を守ります。回転の速い定番車に仕入れを寄せ、入庫したら即日商品化し、60日以内に展示を手当てする。高値で掴んだ分は、早く回して取り返す。相場が動くときこそ、入口の選び方と日数の管理が効いてきます。
Q.今週からやること
順番に手を付けます。最初の週は日数を出すだけで十分です。
販売期間を縮める手順
| やること | いつ | 狙い |
|---|---|---|
| 直近で売れた10台の入庫日・展示日・成約日を並べる | 今週 | 商品化と店頭、どちらで止まるか特定 |
| 入庫即日で整備・撮影に着手する段取りを決める | 今週 | 商品化の日数を縮める |
| 展示60日に届く車の写真・展示位置を点検する | 2週目 | 滞留前に値下げせず反応を上げる |
| 91日超の車に売り切り期限と出口を決める | 2週目 | 縛られた現金を動かす |
| 売れた車の車種・日数を記録に残す | 毎月 | 次の仕入れの選び方を締める(入口) |
毎月、売れた車が何日で売れたかを記録に残します。短い日数で売れた車種と、長く滞留した車種が見えてくれば、仕入れで掴む車が変わります。販売期間の短縮は、月ごとの数字を重ねた分だけ効いていきます。
Q.よくある質問
出典
- 2025年の中古車登録・届け出台数(前年比0.2%減 648万7868台・3年ぶりマイナス)― 日本経済新聞「2025年中古車登録・届け出、3年ぶりマイナス 取引相場は高値で推移」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC152X10V10C26A1000000/(取得日 2026-06-04)
- 中古車登録台数の統計・出典元 ― 日本自動車販売協会連合会(自販連)「中古車統計データ」https://www.jada.or.jp/pages/114/(取得日 2026-06-04)
- 乗用車の平均車齢(令和7年3月末 9.44年・前年比+0.10年・33年連続で高齢化)― 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向(車種別平均車齢)」https://www.airia.or.jp/publish/file/syarei_2025.pdf(取得日 2026-06-04)
入庫から展示までの段取りと、滞留前の手当てを店の仕組みにしたいときは
販売期間の出し方や、入庫即日で商品化を回す段取りづくりで迷ったら、相談を受け付けます。自店の客層と回転に合わせて、続けられる形を一緒に考えます。
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