引き渡して終わりにすると、次の車検まで2年間音信不通になる

車を引き渡したあと、あなたはその客にいつ連絡しましたか。納車のとき以来、一度も声をかけていないなら、次の車検の案内を出すまで2年近く何の接点もないことになります。自家用乗用車の車検は新車で初回3年、その後は2年ごとです(出典:国土交通省)。つまり一度引き渡したら、何もしなければ次に話すのは2年後です。

その2年のあいだに、客のもとには他店のはがきやネットの車検広告が何度も届きます。あなたが黙っている間に、ほかの店が先に声をかけてしまう。次の車検で客が戻らないのは、整備の腕や値段で負けたからではなく、関係が途切れていたからであることが多いのです。乗用車の平均使用年数は13.32年で、1台の客とは10年以上付き合える計算になります(出典:自動車検査登録情報協会)。車検ごとに途切れさせるか、つなぎ続けるかで、その10年で店に残る台数は大きく変わります。

フォローは3回でいい ― 納車直後・半年後・点検前

フォローと聞くと、毎月の連絡や手の込んだ便りを思い浮かべて、それで手が止まる社長は多いはずです。実際にはその逆で、回数を増やすほど客は重く感じ、店も続きません。次の車検までの約2年で、次の3回に絞れば十分です。

時期伝えること狙い
納車1週間以内お礼と「不具合があればいつでも」の一言最初の接点を残し、以後の案内を続きにする
半年後調子のうかがいと季節の備え(夏・冬の点検など)困りごとを早く拾い、入庫のきっかけを作る
点検・車検の前(2〜3か月前)時期の知らせと予約の案内、前回整備のおさらい取りこぼさずに次の車検へつなぐ

3回の時期は、次回車検日が顧客台帳に入っていれば自動的に決まります。納車日と次回車検日さえ持っていれば、半年後がいつで、車検の2〜3か月前がいつかは引き算で出ます。フォローを思いつきでやらず、台帳の日付から組むのがこの3回です。

納車直後の1本が、次の案内を営業に見せない

3回のうち、いちばん効くのに抜けやすいのが最初の1本です。納車から1週間以内に、お礼と「困ったらいつでも連絡してください」を伝えるだけで構いません。ここで売り込みを入れる必要はありません。

この1本があると、その後の点検や車検の案内が、見知らぬ店からの突然の営業ではなく、付き合いのある店からの続きとして読まれます。逆に納車後ぱったり連絡がないと、2年後に届く車検の案内は、客にとってほぼ初対面の店からのダイレクトメールと変わりません。最初の接点を残すかどうかが、2年後の案内が読まれるかどうかを左右します。

最初の連絡で確かめておくこと 納車直後の連絡は、お礼だけでなく「次はどの手段で連絡してよいか」を確かめる場でもあります。電話がいいか、LINEがいいか、はがきがいいか。ここで一度確かめておくと、半年後も車検前も迷わず届けられます。

何を伝えるか ― 売り込みを入れない用件の決め方

フォローが続かない店の多くは、連絡のたびに何かを売ろうとして、文面づくりに困って止まります。3回の連絡は、それぞれ用件を1つに絞ると迷いません。

  1. 納車直後は「お礼と窓口」だけ。新しい点検プランの案内などは入れません。お礼に売り込みが混ざると、礼そのものが軽くなります。
  2. 半年後は「調子はどうですか」を軸に、季節の備えを一言添えます。夏前ならエアコンやバッテリー、冬前ならタイヤやバッテリー。点検の予約は、客が気にしていれば受ける程度にとどめます。
  3. 車検前は、はっきり「予約の案内」をします。ここは堂々と用件を伝えてかまいません。時期が来た客への案内は売り込みではなく、客が必要としている知らせだからです。

毎回うまい文面をひねり出す必要はありません。3回それぞれに定型の一言を決めておけば、担当者が変わっても同じ調子で続けられます。

手段は客に合わせる ― 電話・LINE・はがきの選び分け

連絡手段を1つに統一すると、必ず届かない客が出ます。あなたの客は年齢も付き合いの濃さもばらばらなので、手段は客に合わせて選びます。

手段向く相手・場面気をつけること
電話付き合いが長い客、車検直前で返事がほしいとき手間がかかり、件数が増えると回らない。要所だけに使う
LINE普段スマホで連絡する客、若い世代登録してもらう一手間が要る。納車時に案内しておく
はがき・手紙年配の客、電話やLINEを好まない客届くまで日数がかかる。車検前は早めに出す

大事なのは、どの手段が優れているかではなく、その客がどれなら受け取りやすいかです。納車直後に確かめた「連絡してよい手段」を台帳に書いておけば、半年後も車検前も、その客に合う手段ですぐ届けられます。手段の使い分けそのものは、別の関連記事でさらに細かく整理します。

記録して次へつなぐ ― フォローを台帳に1行残す

フォローが3回で終わらず、次の車検サイクルまで続くかどうかは、記録で決まります。連絡したら、いつ・誰に・何を送り、返事があったかを顧客台帳に1行で書きます。記憶に頼ると、二重に連絡したり、逆に出し忘れたりします。

  • 送った日と手段を残す:「6/1 半年フォロー、LINE、既読」のように1行で十分です。
  • 反応を残す:返事が来た客と来ない客を分け、来ない客には頻度を落とします。全員に同じ回数を送る必要はありません。
  • 次の予定を台帳に書く:次回車検日と並べて「次は車検2か月前に案内」と置いておけば、誰にいつ次のフォローを出すか、台帳を見れば分かります。

この1行があると、担当者が変わっても引き継げて、フォローが個人の頑張りから店の仕組みに変わります。まず今週引き渡す客から、納車1週間以内のお礼の連絡を1本だけ始め、送った日を台帳に書くところからです。引き渡し後のこの3回を、1年の接点設計(関連記事)の一部として組み込めば、次の車検まで関係は途切れません。