全員に同じはがき、で半分取りこぼしていないか

あなたの店では、車検の案内を全員に同じはがきで送っていませんか。それで反応が返るのが半分くらいなら、悪いのははがきそのものではなく、手段が客に合っていないことのほうが多いです。毎日LINEを見ている客にはがきを送れば、ほかの郵便に紛れて読まれません。逆に、はがきしか見ない客にLINEだけで案内すれば、そもそも届きません。

連絡手段を1つに揃えたい気持ちは分かります。送る作業はそのほうが楽だからです。ただ客の側は、年代も、ふだん使う連絡の形もばらばらです。案内は店の都合で1つに決めるのではなく、客ごとに反応を見て選ぶと返りが変わります。この記事は、その選び方を年代・連絡先・反応の3点から具体的に決めます。

LINE・DM・電話は、何が得意で何が苦手か

使い分けの前に、LINE・DM・電話がそれぞれ何に向いていて何に向かないかを並べます。これを押さえると、どの客にどれを当てるかが見えてきます。

手段得意なこと苦手なこと向く客
DM
(はがき)
手元に残る/高齢の客に確実/住所さえあれば届く1通ごとに費用と手間/返事が返りにくいLINE未登録・住所が生きている客
LINEすぐ届く/費用が安い/返事や予約につながりやすい友だち追加していない客には1通も届かない登録済みで、ふだんスマホを使う客
電話その場で予約まで取れる/聞き漏らしを拾える手間がかかる/時間帯を誤ると迷惑になる満了間際・無反応・常連の客

3つとも、強みと弱みが裏表です。はがきは確実だが返事が薄い、LINEは速いが届かない客がいる、電話は決まるが手間がかかる。だから1つでは穴が残ります。土台を1つ決めて、足りないところを別の手段で埋める、という組み方になります。

客ごとに選ぶ ― 年代・連絡先・反応の3点で振り分ける

客ごとと言っても、1人ずつ悩む必要はありません。次の3点を順に見れば、どの手段かはほぼ自動で決まります。

  1. 連絡先の有無:LINEの友だち追加が済んでいるか。済んでいるならLINEが第一候補です。未登録で住所が生きているならDMにします。
  2. 年代と使い慣れ:スマホをふだん使う客はLINEが届きます。はがきや電話を好む高齢の客には、無理にLINEへ寄せません。
  3. これまでの反応:前に出した案内に返事があったか。無反応が続く客や、満了が近いのに動かない客は電話に切り替えます。

この順で振り分けると、案内は「全員にはがき」から「LINEが届く客にはLINE、届かない客にははがき、それでも動かない客には電話」へと変わります。手間は増えそうに見えますが、はがきの枚数が減るぶん費用は下がり、電話は本当に必要な客だけにかけるので数は限られます。

LINEに全員を寄せられない理由 ― 届く客から移す

「いっそ全部LINEにすれば安くて速いのでは」と考えたくなります。実際、LINEは強力です。総務省の調査では、LINEの利用率は全年代で91.1%にのぼり、かつては低かった60代でも大きく伸びています(出典:総務省 令和6年度調査)。それでも全員をLINEに寄せられないのには、はっきりした理由があります。

  • 利用率が高くても、あなたの店のLINE公式アカウントを友だち追加していない客には、1通も届きません。
  • 追加してもらうには来店時の声かけが要り、全員ぶん集まるには時間がかかります。
  • はがきや電話を好む客に、登録を急かすと、かえって関係が冷えます。

LINEは、登録できた客から順に移すものです。来店した客にその場で友だち追加をお願いし、登録できたらその客の案内をLINEに切り替えます。未登録の客ははがきを続けます。登録の有無を台帳に印として残しておけば、どの客がLINEに移せたかが一目で分かります。はがきからLINEへの切り替えの線引きは、関連記事でさらに細かく決められます。

LINEに移すと何が変わるか はがきは送って終わりですが、LINEは返事が返ってきます。「予約したい」「今月は都合が悪い」がその場で分かるので、案内から予約までが一本でつながります。届く客に限れば、はがきより手応えが残ります。

電話は誰にかけるか ― 効く相手を満了日から絞る

電話は手間がかかります。全員にかければ続きません。そこで、かける相手を絞ります。軸になるのは車検の満了日です。乗用車の車検は新車で初回3年、その後は2年ごと。1台ごとに次の期日が必ずあるので、満了日で並べれば、いつ電話すべきかが見えます(出典:国土交通省)。

電話を当てるのは、次のような客です。

  • 満了が近い(目安は1か月前)のに、はがきにもLINEにも反応がない客。取りこぼす一歩手前です。
  • 長く通ってくれている常連。事務的な案内より、一声かけるほうが関係に合います。
  • 前回、うっかり期限が過ぎかけた客。同じことを繰り返さないよう、早めに声をかけます。

逆に、来たばかりの一見の客にいきなり電話をかけると、重く感じられます。新規の客は、まずはがきかLINEから入り、反応を見てから電話を考えます。電話は最後の一押しに取っておくと、かけた1本が効きます。

選び方を続ける ― 台帳の1列で迷いを消す

ここまでの選び方は、頭で覚えようとすると続きません。担当が代わった瞬間に、誰にどの手段を使うかが分からなくなるからです。続けるために、台帳に「連絡してよい手段」の1列を足します。そこに、次の3つを書いておきます。

  • LINE登録の有無:友だち追加が済んでいるか。済んだ日も入れておくと、移行の進み具合が見えます。
  • 電話してよい時間帯:日中は仕事、夜は遠慮、など客の都合を一言だけ。誤った時間にかける迷惑を防げます。
  • はがきが戻ったか:宛先不明で返ってきた客は住所が古いので、来店時に確認します。

この1列を来店のたびに更新すれば、次の案内でどの手段を使うかは台帳を見るだけで決まります。手段選びが、人の記憶ではなく台帳の仕事に変わります。まず今日、これから1か月に車検が来る客を満了日で並べ、その横にLINE登録の有無を埋めるところから始めます。手段が決まれば、あとは出すだけです。