はがきの反応が落ちても、LINEに「替える」だけでは取りこぼす
あなたの店で、車検案内のはがきを出しても以前ほど予約につながらない、という手応えはありませんか。費用もかかるので、LINEに切り替えたい気持ちはよく分かります。ただ、ここでつまずきやすいのは「はがきをやめてLINEにする」と考えてしまうことです。
LINEは、店の公式アカウントを友だち登録してくれた客にしか届きません。登録のない客にLINEだけで案内すれば、その客にはその年から案内が1通も届かなくなります。せっかく毎年通ってくれていた客を、案内が届かないという理由だけで取りこぼします。だから判断は「替えるか」ではなく、どの客にどちらを使うかです。はがきとLINEは、奪い合うものではなく分け合うものとして見ます。
LINEが効く理由と、はがきが残る理由 ― 数字で比べる
まず、LINEがこれだけ広がっている事実を押さえます。総務省の令和7年版情報通信白書によると、LINEの利用率は全体で94.9%、60代でも91.1%です。10年前は60代の利用率が11.3%でしたから、この層が一気に追いついたことになります。「高齢の客はLINEを使っていない」という前提は、もう実態に合いません。
ただし、利用率が高いことと、店のアカウントに登録してくれることは別です。本人がLINEを使っていても、あなたの店を友だち登録していなければ案内は届きません。ここを混同すると、「みんな使っているはずなのに反応がない」とずれます。両者の長所と短所を並べて比べます。
| 比べる点 | はがき | LINE |
|---|---|---|
| 届く相手 | 住所が分かる客の全員 | 友だち登録した客だけ |
| 1通あたりの費用 | 印刷代+郵便料がかかる | 登録した客への基本の通知は負担が軽い |
| 読まれたか | 分からない | 既読・未読が分かる |
| 予約への動き | 電話や来店が要る | その場で返信・日程相談ができる |
| 向いている客 | 登録のない客・操作が不安な客 | 登録済みで普段からLINEを使う客 |
表で見ると、はがきは「届く相手が広い」、LINEは「届いた客には深く効く」という役割の違いがはっきりします。費用だけでLINEに寄せると、はがきが担っていた「登録のない客に届く」という役割が抜け落ちます。この抜けが取りこぼしになります。
客を「登録あり」「登録なし」で分ける ― 連絡手段欄を1列足す
使い分けといっても、頭の中で覚えておくのでは続きません。台帳に印を持たせます。やることは1つで、顧客台帳に「連絡してよい手段」の欄を足し、客ごとにLINEかはがきかを入れます。
- LINE:店の公式アカウントを友だち登録済みで、普段からLINEを使う客。案内はまずLINEで出します。
- はがき:登録のない客、操作に不安がある客、住所しか分からない客。これまでどおりはがきを出します。
- 電話:高額整備の相談など、文字より話したほうが早い客。LINE・はがきに足して使います。
この1列があると、案内を出すときに迷いません。次回車検日で並べ替え、上から「この客はLINE、この客ははがき」と機械のように手を動かせます。分ける軸は年齢ではなく、登録の有無です。80代でも登録していればLINEで届きますし、40代でも未登録ならはがきです。年齢で決めつけると、せっかく登録してくれた高齢の客にはがきを二重で送ることになります。
登録を増やす ― 来店時の一声と、はがきからの誘導
使い分けが回り出すと、次は「LINE登録のある客をどう増やすか」が課題になります。登録が増えれば、そのぶんはがきの枚数と費用が減るからです。増やす場面は限られています。客が店にいる、その瞬間です。
- 会計時にひと声かける:「次の車検のご案内をLINEでもお送りできます。よろしければこちらから」と、店頭のQRコードを案内します。手が空いているこのタイミングが、いちばん登録してもらえます。
- 登録の得を一言で伝える:「車検の時期にお知らせが届きます」「日程の相談もそのまま返信できます」と、客にとっての利点を短く言います。「お店の都合で」と聞こえる言い方は避けます。
- はがきにQRを載せる:登録のない客に出すはがきの隅に、QRと「LINEでも案内を受け取れます」の一文を入れます。次の機会に登録へ動いてもらえます。
登録してもらえたら、その場で台帳の連絡手段欄をはがきからLINEへ直します。後でまとめてやろうとすると抜けます。会計と同じ流れで印を付け替えるのが、いちばん続きます。
送る回数を絞る ― ブロックされない案内の出し方
LINEを使い始めて気が大きくなり、セールやお知らせを毎週送り始めると、客は離れます。LINE公式アカウントをブロックした理由で最も多いのは「情報配信の頻度が多すぎる」で、全体で26.5%、60代以上では30.9%にのぼります(出典:モビルス)。あなたの店が高齢の客を大事にしているなら、なおさら送りすぎは禁物です。
車検・点検の案内は、もともと送りすぎになりにくい性質を持っています。その客に車検や点検の時期が来たときだけ送るので、回数が自然に絞られるからです。次の線引きで十分に保てます。
- 送るのは、その客の車検・点検が近づいた時期だけにします。全員へ同じ日に一斉配信はしません。
- 1台につき、案内は車検の数か月前に1回、反応がなければ直前にもう1回までにとどめます。
- 季節のあいさつや値引きの一斉配信は、頻度を月1回までと決め、必要なければ送りません。
必要な客に、必要な時期だけ届く。これがLINEのいちばん効く使い方です。はがきは枚数を増やすと費用が増えますが、LINEは送りすぎると客が減ります。痛みのかかり方が違うだけで、出しすぎないという考え方は同じです。
今日から動かす ― 連絡手段欄を足して両方を回す
あなたの店で明日からできることは、難しくありません。台帳に連絡手段の1列を足し、分かるところから埋めるだけです。全員ぶんを今日埋める必要はありません。これから車検・点検が近い客から先に手を付けます。
- 台帳に「連絡してよい手段」の列を足します。空欄のままで始めてかまいません。
- 次の数か月に車検・点検が来る客から、登録の有無を確かめて手段を入れます。
- 来店した客には会計時にLINE登録をおすすめし、できたら欄をLINEへ直します。
- 案内を出すときは、LINEの客にはLINE、はがきの客にははがき、と欄どおりに送ります。
はがきを捨てる必要も、全部をLINEに替える必要もありません。客ごとに届く手段を1つ確実に持っておくこと、それが取りこぼしを止める土台です。送る時期そのものの決め方は車検案内のタイミング(関連記事)へ、手段を書き込む台帳の作り方は顧客台帳(関連記事)へ続きます。