「1回・はがきだけ」で出していると、なぜ他店に流れるのか

車検の案内を出しているのに、ふたを開けると「今回は近くの量販店で受けた」という客が、あなたの店でも毎月いるはずです。出していないわけではありません。多くは、出し方が「満了の1か月前に、はがきを1回」で止まっています。

この出し方は2つの取りこぼしを同時に生みます。1つは動きの早い客です。車検を早めに済ませたい人は、満了の2か月前あたりから自分で店を探し始めます。1か月前に届くはがきは間に合いません。もう1つは返事をしない客です。はがきは全員に同じ手間で届く代わりに、見て忘れる人が多いものです。1回きりだと、忘れた人はそのまま満了日を迎えて、目についた別の店に駆け込みます。

つまり、出すこと自体ではなく「いつ・何回・どの手段で」がそろっていないために漏れます。直すのはこの3つだけです。

2025年4月の制度変更で、案内の起点が「2か月前」に早まった

2025年4月から、車検(継続検査)は有効期間満了日の2か月前から受けられるようになりました。それまでは1か月前からで、早めに受けると残りの期間が切り捨てられて損でした。改正後は2か月前に受けても残りの期間が失われません。年度末に車検が集中して予約が取りづらい状況をやわらげるための変更です(出典:国土交通省)。

あなたの店にとってこれは、入庫を取り合う時期が1か月早まったことを意味します。早く動く客は2か月前に動けます。案内が1か月前のままなら、その客は他店がすでに拾っています。逆に、自店の初回案内を2〜3か月前へ動かせば、競合より先に声をかけられます。

押さえる事実 車検が受けられる期間は「満了2か月前〜満了日」です。乗用車の車検は新車で初回3年、その後は2年ごと。だから1人の客には2年に一度、必ず声をかける機会があります(出典:国土交通省)。

いつ出すか ― 満了2〜3か月前と1か月前の2回

基本は2回に分けます。1回でまとめず、性格の違う2回に分けます。

  • 初回(満了2〜3か月前):受けられる期間に入る前か入った直後に、全員へ。「そろそろです・うちで受けられます」を先に置いて、客が検討を始める前に自店を思い出してもらいます。
  • 再連絡(満了1か月前):初回に返事がなかった客だけに、もう一度。ここで満了日が近いことをはっきり伝え、予約まで運びます。

3回目(満了直前)を入れる店もありますが、まずは2回を回しきるほうが先です。1回を2回にするだけで、初回を見落とした客にもう一度声が届きます。回数を増やすより、「返事のない人にもう一度」を欠かさないことのほうが効きます。

どの手段で出すか ― はがき・電話・LINE・メールの使い分け

手段はそれぞれ、届きやすさと手間と予約への近さが違います。1つに頼らず、初回は広く・再連絡は深く、と役割を分けます。

手段届きやすさ手間予約への近さ向いている場面
はがき・DM全員に届く軽い(一括)遠い初回。全員への第一報
電話出れば確実重い(1件ずつ)近い(その場で予約)再連絡。返事のない客へ
LINE登録済みの客のみ軽い近い連絡先が取れている常連
メール開封されにくい軽い遠いはがきの補助。単独では弱い

現実的な組み合わせは、初回は全員にはがき、1か月前に返事のない客へ電話です。LINEで友だち登録が取れている客には、はがきの代わりにLINEで初回を送ると手間も費用も軽くなります。メールは単独だと開かれないので、はがきの補助に留めます。

文面で外さない3点 ― 期日・期限・次の一手

案内の反応は、割引や点検内容の説明より、次の3つが目に入るかで決まります。受け取った人が「自分ごと」だと一目で分かることが先です。

  1. その車が満了する日:「お車の車検は ○年○月○日 までです」。自分のナンバーや車種が書いてあるとなお見られます。
  2. いつまでに連絡すればいいか:「○月○日までにご連絡を」。期限がないと後回しにされます。
  3. 次にどう動けばいいか:「このはがきを持ってご来店」「お電話1本でご予約」。動き方を1つに絞ります。

逆に、点検項目を細かく並べる、料金表を全部載せる、といった情報過多は読まれません。伝えるのは「あなたの車・いつまで・どう動く」の3点に絞ります。

自店の案内スケジュールの作り方(今週やること)

仕組みにするのは難しくありません。台帳から満了日で客を引けるようにして、月初に「翌々月に満了する客」をまとめて出すだけです。手順はこうなります。

  1. 満了日で並べ替える:顧客の一覧を次回車検日(満了日)の順に並べます。これができないなら、まず台帳の作り直しが先です(関連記事を参照)。
  2. 月初に2か月先を抜き出す:たとえば6月初めなら、8月に満了する客を抜き出して初回案内を出します。
  3. 返事を記録する:連絡があったか・予約に進んだかを台帳に印を付けます。
  4. 1か月前に未反応へ電話:印の付いていない客(=返事なし)だけに、満了1か月前に電話します。

毎月この4手を回すと、案内が「思い出したときに出すもの」から「満了日が来れば自動的に声がかかるもの」に変わります。まず今週、これから3か月以内に満了する客を抜き出して、初回案内を出すところから始めます。誰に出すかをすぐ引ける台帳がない場合は、台帳づくりから手をつけます。