「来月車検の車はどれか」が出ないのは、車で引けていないから

あなたの店で「来月、車検が満了する車はどれか」と聞かれて、その場でリストが出てきますか。顧客の名簿はあるのに来月車検の車が即答できないなら、情報の持ち方が「人」になっていて「車」になっていないのが原因です。名前で並んだ名簿は、誰が客かは分かっても、どの車がいつ車検かを引けません。

自動車店の再来店は、客の気分ではなく車検・点検という日付で決まります。だから台帳に最初に問われるのは、連絡先の数でも整備履歴の細かさでもなく、次に期日が来る車を日付で抜き出せるかです。あなたが毎月やりたいのは「来月・再来月に車検の車だけを並べて、その持ち主に声をかける」こと。その1点を満たす持ち方から逆に組みます。

車両情報は1台1行で持つ ― 名前で並べると車検日がぶれる

台帳を「氏名」から組むと、現場で必ずつまずきます。自動車店ではこういうことが日常的に起きるからです。

  • 1人が2台、3台と持っています。車検日はそれぞれ別の月です。
  • 名義は妻で、実際に乗って来店するのは夫、ということがあります。
  • 買い替えで車が変わり、前の車の記録と新しい車がつながらなくなります。

人を1行にすると、その人に車検日が複数ぶら下がって、どの日付で並べたいのかが定まりません。車を1行にして、その行に持ち主をぶら下げると、台帳は次回車検日でまっすぐ並びます。1人で2台なら2行、家族の3台なら3行です。行が増えるのを嫌がらず、車の数だけ行を作るのが、日付で引ける台帳の最初の条件です。

人を軸にした台帳と、車を軸にした台帳の違い 人を軸にすると、1行に車検日が複数入り、案内を出すたびに「この人のどの車か」を毎回ほどく手間がかかります。車を軸にすると、1行=1つの次回車検日になり、その月の車をそのまま抜き出せます。案内は「車検が近い車」に出すものなので、車で並ぶほうが現場に合います。

必須は5列 ― 次回車検日・車種・ナンバー・持ち主・連絡先

1行に持つ項目は、欲張ると更新が続きません。まず次の5列だけで案内は回せます。年式や整備履歴は、回しながら足します。

入れるものこれで何ができるか
次回車検日満了日(年月日)月ごとに並べ替えて、来月・再来月の車を抜き出せる
車種・年式車名と初度登録年整備の見当がつき、買い替え提案の時期も読める
ナンバー登録番号同名・同車種でも1台を取り違えずに特定できる
持ち主氏名(名義と来店者が違えば両方)誰に声をかけるかが定まる
連絡先電話・住所、連絡してよい手段はがき・電話・LINEのどれで届けるか決まる

この5列がそろえば、台帳はもう案内の仕事をします。整備履歴(前回いつ何をしたか)や次に出そうな整備は、来店のたびにその行へ足していきます。最初から全部の列を埋めようとせず、次に車検が来る車から5列を入れます。

次回車検日をどう入れて、どう更新し続けるか

次回車検日は、台帳の背骨です。ここが古いと、台帳全体が信用できなくなります。入れ方と更新の決め方を、現場の動きに合わせて固めます。

入れるとき ― 車検証から1台ずつ写す

満了日は車検証(自動車検査証)に書いてあります。入庫した車の車検証から次回車検日を写し、その行に入れます。新車は初回が登録から3年、その後は2年ごとと決まっているので(国土交通省)、入庫のたびに次の満了日が確定します。推測で入れず、必ず車検証の日付を写します。

更新するとき ― 会計のその場で次の日付に書き換える

車検が終わったら、その車の次回車検日を2年後に書き換えます。後でまとめてやろうとすると抜けるので、会計のそのタイミングで直します。担当を1人決め、店の全員が同じ1つの表を見るようにします。手元に別のメモを作らせると、そこから台帳が崩れます。

  1. 入庫したら車検証から次回車検日を写す。
  2. 車検・点検が終わったら、その場で次の満了日に書き換える。
  3. 更新する担当を1人に決め、表は1つに絞る。

2か月前から車検できる ― 日付で並ぶ台帳が活きる場面

2025年4月から、車検は満了日の2か月前から受けられるようになりました(国土交通省)。以前は1か月前からだったので、案内を出して予約をもらえる窓が前へ広がりました。これは日付で並ぶ台帳でこそ活きます。

台帳が次回車検日で並んでいれば、毎月の作業は「満了の2〜3か月前の車を、その月だけ抜き出す」ことになります。あなたは抜き出した車の持ち主に、車種と前回整備を見ながら声をかけるだけです。名前で並んだ名簿では、この「2か月前の車を抜き出す」が手作業になり、せっかく広がった猶予を使い切れません。

並べ方毎月の作業2か月前の前倒しを使えるか
次回車検日で並ぶ当月+2〜3か月先の車を抜き出すだけ使える。前倒し分も漏れずに案内できる
名前で並ぶ1人ずつ車検日を確かめて拾う抜けやすく、前倒しの猶予を活かしにくい

1台の記録は13年使う ― 持ち方を最初に決める価値

乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.35年です(自動車検査登録情報協会、2025年3月末)。1台の記録は、最初の車検から数えて何回も使い続けるということです。車両情報の持ち方は、1度決めたら長く効きます。逆に、持ち方があいまいなまま台数だけ増えると、直すのが年々重くなります。

あなたが今日決めるのは、難しい道具選びではありません。1台1行にして、次回車検日を必須の列に置く。それだけで、来月車検の車を抜き出せる台帳になります。台数が増えてExcelの手作業がつらくなったら、そのとき顧客管理システムを検討します。持ち方を先に決めておけば、システムへ移すときも同じ形のまま運べます。

まず今日、これから2〜3か月で車検が来る車を、次回車検日・車種・ナンバー・持ち主・連絡先の5列で1つの表に抜き出すところから始めます。案内のタイミングと手段の決め方は、関連記事へ続きます。