中古車を探す人はどこで台を選んでいるか

中古車を買う人は、店に行く前にスマホで車を探し終えています。自販連の調べでは、2025年の中古車登録台数は363万2179台で前年比0.8%減でした。これに全軽自協の軽自動車の中古車販売285万5689台を足した中古車登録・届け出の合計は648万7868台と前年比0.2%減で、3年ぶりのマイナスになりました。在庫が動きにくくなっているぶん、限られた買い手を同じ車種で取り合います。その取り合いの場が、買い手のスマホの中の一覧です。

買い手の探し方には順番があります。ある購入行動の調べでは、人はまず情報サイトで車種と条件を絞り、買う2か月前あたりから情報サイトへの接触を大きく増やし、新しい在庫や値動きを直前まで確かめてから動きます。2017年の調査でも、中古車購入時の情報収集源として「中古車の購入情報サイト」を挙げた人が30.8%にのぼり、店頭と並んで情報サイトが台選びの入口になっていました。来店は最後で、その前に台はほぼ絞られています。だから、一覧で選ばれる手入れがそのまま反響を左右します。

掲載費は「棚代」、反響は手入れで決まる

掲載費を「広告費」と受け取ると、払えば問い合わせが来るはずだと感じます。実際は、多くの買い手が集まる棚に在庫を並べる「棚代」に近いものです。同じ棚に並ぶ権利を買っているだけで、隣の台より選ばれるかは別の話です。ここを取り違えると、反応が薄いときに「掲載数を増やす」「もっと上位の枠を買う」へ先に進み、選ばれない台のまま費用だけ膨らみます。

順番は逆です。まず、いま載っている台が選ばれる状態かを点検します。買い手が一覧から1台を開いて問い合わせるまでに見るのは、写真・コメント・価格の3つ。この3つを同じ台でそろえると、いまの掲載費のまま反響が増えます。次から、効く順に一つずつ見ます。

買い手の動き見ている要素ここで外れる理由
一覧で絞るサムネ写真・総額1枚目が暗い・相場から外れた価格で、開かれずに飛ばされる
詳細を開く写真の枚数と中身枚数が少なく傷が写っていないと、不安で問い合わせ前に閉じる
店を確かめるコメント・店名検索売り文句だけで実情が見えず、店の入口も薄いと手前で止まる
問い合わせる連絡先・総額の内訳諸費用が不透明だと、総額で比べる人が他店へ移る

①写真で来店前の不安を埋める

一覧から開いてもらえても、写真が少ないと問い合わせの手前で閉じられます。あなたの店を知らない買い手は、初めての店に何十万円も払うのだから、来店前に車の状態を写真で確かめたい。きれいに見せる演出より、ありのままが分かる写真のほうが、迷っている人ほど残します。スマホで撮るだけで十分なので、不安になりがちな箇所を順に埋めてください。

撮る順番を決めて全車に同じ枚数を載せると、台ごとのばらつきが消え、撮影の手も止まりません。

②コメントは売り文句より「ありのまま」

コメント欄に「美車」「自信あり」とだけ並べても、買い手には何も伝わりません。同じ言葉を全店が使っているからです。買い手が知りたいのは、その台ならではの事実です。整備でどこに手を入れたか、消耗品をいつ替えたか、前のオーナーの使い方、気になる点も含めて正直に書くと、読んだ人は「ちゃんと見ている店だ」と感じます。

やってはいけないこと

車両本体だけ安く見せて諸費用で上乗せする出し方、状態の悪い箇所を写真から外す見せ方は、その場の反応は取れても来店後に崩れます。買い手は総額で比べ、来てから現物を見ます。手前で釣って店頭で落胆させると、口コミと評判に跳ね返り、ポータルでの見え方そのものを下げます。正直に出した台のほうが、結局は早く決まります。

③価格は総額で、相場の中に置く

買い手は同じ車種・年式・走行を一覧で並べて見るので、価格は相場の中に置きます。安くするという話ではありません。近い条件の他店がいくらで出しているかを見て、その中で選ばれる位置に総額で置く、という作業です。総額表示は、車両本体に税金・諸費用まで含めた支払い額を示す出し方で、買い手はこれで店どうしを比べます。

価格を置くときに確かめる3点
  1. 同じ車種・年式・走行・グレードで、ポータル上の近い台を並べて相場の幅を見る。
  2. 総額(車両本体+税金+諸費用)で出ているか。本体だけ安い見せ方をしていないか。
  3. 自店の台の状態(整備済み・保証付き)が、価格の理由としてコメントに書けているか。

相場より高く置くなら、整備や保証で理由を見せる。相場の中に置けたら、あとは写真とコメントで他店との差をつけます。価格だけを下げる前に、写真とコメントが埋まっているかを先に確かめてください。

④ポータルから自社の入口へつなぐ

ポータルで気になる台を見つけた人は、そのまま問い合わせるとは限りません。店名で検索して、評判や雰囲気を確かめてから連絡します。このとき自社のホームページやGoogleマップが薄いと、見つけた台があっても手前で止まります。ポータルは見つけてもらう棚、自社は信用してもらう場所で、つなげて初めて反響が成約に変わります。

難しい連携はいりません。ポータルのコメントに店の特徴と保証の考え方を書いておき、店名で検索した人がたどり着く自社のホームページに、在庫一覧・スタッフ・保証・アクセスを置く。地図での評判はGoogleマップで確かめてもらう。この受け皿があると、ポータルからの興味が逃げずに連絡まで届きます。役割の分け方はGoogleマップ(MEO)を整備・車検店で使うでも触れています。

今週やること ― 1台の点検

全在庫を一度に直すと手が止まります。まず1台を客の目で点検し、効いた手入れを他の台に広げてください。

今日やる1台の点検
  1. 自店の在庫を1台選び、スマホのポータルで詳細を開く。客になったつもりで眺める。
  2. 同じ車種・年式・走行の他店の台を3つ開き、写真の枚数・1枚目・総額を並べて比べる。
  3. 自店の台で足りない写真(傷・記録簿・内装)を撮り足す。1枚目を明るい全体像に差し替える。
  4. コメントを売り文句から事実へ書き直す。整備内容・保証・気になる点を一言ずつ。
  5. 店名で検索し、自社のホームページとGoogleマップが出るか、薄くないかを確かめる。

この点検で、いまの掲載費が反響につながらない理由が、1台ぶん具体的に見えます。あとは効いた手入れを在庫全体へ広げる。掲載費を増やす前に、いま載っている台を選ばれる状態にするのが、ポータルから反響を増やす一番安い手順です。どこに費用を振り分けるかは、整備工場の集客予算、何にいくら振るかでまとめました。

よくある質問

中古車ポータルの掲載費は何の対価ですか。
在庫を全国の買い手の前に並べる「棚代」と考えると分かりやすいです。多くの人が車を探しに来る場所に自店の在庫を出せること自体が対価で、問い合わせの数まで保証するものではありません。同じ棚に並んでいても、写真やコメントの差で選ばれる台と素通りされる台に分かれます。掲載費が反響につながるかは、載せたあとの手入れで決まります。
ポータルに載せていれば自社のホームページはいらないのでは。
役割が違うので両方いります。ポータルは在庫を見つけてもらう棚、自社のホームページは店そのものを信用してもらう場所です。買い手はポータルで気になる車を見つけたあと、店名で検索して評判や雰囲気を確かめてから問い合わせます。そのときに自社の入口が薄いと、見つけた車があっても手前で止まります。ポータルと自社は競合ではなく、つなげて使います。
掲載写真は何枚くらい載せればいいですか。
枚数の正解より、買い手が来店前に確かめたいところを埋めることが先です。外装の四方、内装、メーター、タイヤの溝、傷やへこみ、整備記録簿まで、不安になりがちな箇所を隠さず写すと、迷っている人ほど残ります。きれいに見せる写真より、ありのままが分かる写真のほうが問い合わせにつながります。撮る順番を決めて全車に同じ枚数を載せると、手も止まりません。
ポータルの掲載価格はどう決めればいいですか。
買い手は同じ車種・年式・走行で並べて見るので、相場から外れた価格は写真を見る前に外されます。総額表示で出し、近い条件の他店の出方を見て、その中で選ばれる位置に置きます。安くするという話ではなく、車両本体だけ安く見せて諸費用で上乗せする出し方は、総額で比較する買い手に見抜かれて信用を落とします。価格・写真・コメントは一つの台でそろえて初めて効きます。
出典(取得日:2026年6月4日)
  1. 一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「中古車統計データ」(2025年の中古車登録台数363万2179台・前年比0.8%減)
    https://www.jada.or.jp/pages/114/
  2. 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車中古車販売台数の年別推移」(2025年の軽自動車の中古車販売285万5689台・前年比0.7%増。登録車と合わせた中古車登録・届け出の合計は648万7868台・前年比0.2%減で3年ぶりマイナス)
    https://www.zenkeijikyo.or.jp/statistics/4used-year
  3. 総務省「令和7年版 情報通信白書」(端末別のインターネット利用率はスマートフォン74.4%・パソコン46.8%で27.6ポイント差)
    https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd21b120.html
  4. インテージ「デジタル時代のクルマ購入検討行動」(中古車の買い手は情報サイトで条件を絞り、購入2か月前あたりから情報サイトへの接触を増やして在庫・値動きを直前まで確かめる)
    https://gallery.intage.co.jp/media-8/
  5. マイボイスコム「中古車に関するアンケート調査」(2017年・複数回答。中古車購入時の情報収集源として「中古車の購入情報サイト」が30.8%)
    https://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/23109/index.html

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