なぜ掲載を切っても利益が増えないのか
手数料を払うのが惜しくて掲載をやめると、その分の新規がそのまま消えます。問題は手数料そのものではなく、ポータルで来た客が次もまたポータルから来る点にあります。客はあなたの店ではなく、安く探せた場所、つまりポータルを覚えて帰る。だから次の車検でも同じようにポータルを開き、そのとき一番安い別の店に行きます。あなたは2年ごとに手数料を払って、同じ客を取り直し続けることになります。
整備・車検の仕事は本来、再来店と相性のよい商売です。車検は2年に1度かならず来る。間には点検やオイル交換、急な故障も挟まります。日本自動車整備振興会連合会(JASPA)の令和6年度の調べでは、全国の整備事業場は92,384、総整備売上は6兆2,561億円にのぼります。これだけの整備需要が毎年動いていて、しかもその多くは近所で頼みたい仕事です。一度来た客とつながっておけば、ポータルを通さず直接戻ってくる余地は大きい。掲載を切る前に直すのは、この「つながり」のほうです。
手数料が重いか軽いかは「2年で落とすお金」で見る
1台あたりの手数料が高いか安いかだけを見ても、判断は決まりません。見るのは、その客が次の車検まで2年間で店に落とすお金に、手数料が見合うかどうかです。車検1回で終わる客と、点検・整備・次の車検まで通う客では、同じ手数料でも重みがまったく違います。
| 同じ手数料を払っても | 1回限りの客 | 再来店して常連になる客 |
|---|---|---|
| 店に落とすお金 | 車検1回ぶんだけ | 車検+点検+整備+次の車検 |
| 手数料の重さ | 売上に対して重い | 2年・4年で割れば軽くなる |
| 次の入口 | またポータル(手数料が再発生) | 自店に直接(手数料ゼロ) |
| 取るべき手 | 連絡先を渡し、再来店の理由を作る | 関係を切らさず、紹介もお願いする |
つまり、手数料の高い安いを悩む前に、来た客を再来店につなげられているかを確かめます。1回限りで終わる客ばかりなら、手数料はいくらでも重い。常連に変えられているなら、同じ手数料は払う価値のある入口代になります。手数料の値下げ交渉より、来た客を常連に変えるほうが先です。
①ポータル経由の客を自店の連絡先に移す
最初にやるのは、ポータルで来た客を自店から直接つながれる相手に変えることです。来店から引き渡しまでが、その一度きりの接点になります。難しい仕組みはいりません。引き渡しのときに、次の3つのどれかを必ず渡します。
- LINE公式アカウント:その場でQRコードを見せて登録してもらう。次の車検時期や点検の案内を、ポータルを通さず直接送れます。
- 次回案内のはがき・名刺:次の車検月を書いた紙を1枚。車検証ケースに入れて渡すと残ります。
- 次回の予約・概算:「次の車検は◯年◯月です」とその場で伝え、直接の問い合わせ先を一緒に渡す。
渡すだけで終わらせず、車検の1〜2か月前にこちらから一声かけます。客は車検時期を忘れていることが多く、思い出させた店が選ばれます。ここを仕組みにすると、次の車検はポータルではなくあなたの店に直接入ります。
今月ポータル経由で入った客のうち、自店の連絡先を渡せた人が何人いるか。半分も渡せていなければ、入口は増やす前に、ここがざるになっています。まず引き渡しの手順を1つ決め、渡せた数を毎月書き出します。
②費用ゼロのGoogleマップと口コミで入口を増やす
連絡先を移す仕組みができたら、ポータル以外の新規の入口を増やします。最初は費用のかからないGoogleマップ(Googleビジネスプロフィール)からです。地図で「地名 車検」と探す人はその日に動きます。Googleの調べでは、スマホで近くの店やサービスを探した人の76%が1日以内に来店し、28%がその日に来店や問い合わせに動きます。車検・整備のように「近くで、早く、安心して頼みたい」仕事は、この地図検索とまっすぐ噛み合います。
地図に出るのに費用はかかりません。店情報を正しく埋め、引き渡しのたびに口コミをお願いして増やすだけで、ポータルを通さない新規の入口になります。手入れの順番はGoogleマップ(MEO)を整備・車検店で使うにまとめました。古い車が増え続けている点も追い風です。自動車検査登録情報協会の調べでは、2025年3月末で乗用車の平均車齢は9.44歳と、33年連続で上がっています。古い車ほど車検・整備が増え、その客が頼り先を地図で探します。
③手数料の一部をホームページに回し、直接予約の入口を作る
地図とあわせて、料金や車検の流れを見せるホームページを直接予約の入口にします。ポータルに毎月払っていた手数料の一部をこちらに回すと、ポータルを通さずに予約が入る道ができます。客がポータルで比べるのは結局「料金と評判」なので、その2つを自店のページで先に見せれば、ポータルを開く前に直接来てもらえます。
- 車検の料金と総額の目安を、分かりやすく載せる。隠すと客はポータルの料金で比べます。
- 電話だけでなく、ネットや問い合わせフォームから予約できるようにする。
- 地図とホームページの連絡先・店名・営業時間をそろえる。ばらつくと客は迷い、安心して直接来られません。
問い合わせが0のままのホームページなら、入口にする前に直す場所があります。何を直すかは反応のないホームページ ― 整備・車検店が最初に直す4点にまとめました。
掲載の口数を減らす順番と、減らしてよい合図
移し先の土台ができても、ポータルを焦って切らないでください。減らすのは、自社集客の入庫が手数料ぶんを上回る見込みが立ってからです。順番を間違えると、入口を閉じただけで売上が落ちます。次の合図がそろってきたら、掲載の口数や予算を段階的に下げていきます。
- ポータル経由の客の半分以上に、自店の連絡先を渡せている。
- 地図やホームページからの直接の問い合わせ・予約が、毎月入るようになった。
- 前回ポータルで来た客が、今回は直接戻ってきた例が出ている。
- 口コミが増え、地図で「地名 車検」と探したときに自店が見つかる。
合図が出てきたら、いきなり全部やめず、一番割に合わない掲載やプランから1つずつ口数を下げます。減らした分だけ新規が落ちないか、地図とホームページからの入庫が埋めているかを、毎月の数で確かめながら進めます。ポータルを「悪者」にして勢いで切るのではなく、出口を作りながら入口を絞る。これが手数料を払い続けないための現実的な順番です。
今月やること ― 連絡先を渡せた数を数える
大きな決断より先に、今の状態を数で見ます。手数料の重さは、来た客を再来店につなげられているかで変わるからです。
- ポータル経由で入った客の数と、1台あたりの手数料を書き出す。
- そのうち、自店のLINEや次回案内を渡せた人が何人いるか数える。
- 渡せていないなら、引き渡しでQRかはがきを渡す手順を1つ決める。
- Googleマップの自店情報を開き、料金や評判が見えるか、口コミに返信しているか点検する。
- 来月、直接の問い合わせ・予約が何件入ったかを記録する。
この数があれば、ポータルを切る・続けるを勢いではなく数で決められます。あなたが先にやるのは、掲載をやめることではなく、来た客を自店に残す出口を作ること。同じ客を毎回手数料で取り直す流れを、一度きりで止める。これが利益を守る一番確実な手です。集客の全体をどこから手をつけるかは、車検の入庫を増やす集客の順序でまとめました。
よくある質問
ポータルサイトの掲載は今すぐやめるべきですか。
ポータル経由の客が再来店につながらないのはなぜですか。
自社集客の土台は何から作ればいいですか。
ポータルに払う手数料はいくらが適正ですか。
- 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)「令和6年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について」(事業場92,384・総整備売上6兆2,561億円)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R06jittaityousa.pdf - Think with Google / Googleのローカル検索調査(スマホで近くを検索した人の76%が1日以内に来店、28%が購入・来店につながる)
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/data-and-measurement/localcreative/ - 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」(2025年3月末現在。乗用車の平均車齢9.44歳で33年連続上昇)
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html
ポータル脱却の進め方を相談する
「手数料が利益をどれだけ削っているか見てほしい」「来た客を自店に残す仕組みを作りたい」など、集客の悩みを受け付けます。
相談する(準備中)お問い合わせ窓口は近日開設します。