電話予約だけで逃しているのは「時間帯」

電話予約には、消せない弱点が一つあります。店かコールセンターが開いている時間しか取れない、という点です。あなたが車をリフトに上げている間、昼休み、定休日、夜――この時間に「車検どこに頼もう」と動いた客は、電話をかけても出ないか、留守番電話につながります。そして多くは、次の店にかけ直します。一度よそで車検を通した客は、もう戻ってきません。

ネット予約が拾うのは、まさにこの時間帯の客です。24時間いつでも申し込みを受けられるので、客は思い立った夜のうちに「車種・希望日・連絡先」を送れます。返信はあなたの営業時間内で構いません。電話を好む客はこれまで通り電話を使い、電話がつながらなかった客だけをネットで受け止める。電話を減らすのではなく、取れていなかった層を足す、という足し算です。

整備の仕事は、これからも需要が細りません。自動車検査登録情報協会の調べでは、2025年3月末で乗用車の平均車齢は9.44歳と、33年連続で上がり続けています。古い車ほど車検・整備の出番が増え、その客が頼り先を探して動きます。動いた瞬間に受けられる入口を、営業時間の外にも持っておくかどうかの話です。

載せるか迷う前に、取りこぼしを数える

「ネット予約を入れるべきか」は、世間の流行ではなく自店の数字で決めます。判断材料は一つ、つながらなかった電話が週に何件あるか、です。これを1週間記録するだけで、載せる価値があるかがはっきりします。

取りこぼし件数の数え方(1週間)
  1. 留守番電話に残った着信のうち、折り返して予約に至らなかった件数を数える。
  2. 営業時間外(夜・早朝・定休日)の不在着信の件数を、スマホの着信履歴で数える。
  3. この2つを足すと、1週間の「逃したかもしれない問い合わせ」の概算が出る。
  4. 1件の車検・整備でいくら売上になるかを掛ければ、逃している金額の目安になる。

週に数件の取りこぼしがあるなら、ネット予約を載せる価値はあります。ゼロに近いなら、急ぎません。先にホームページそのものや検索からの流入を増やす番です。下の目安で、自店がどちらかを見てください。

1週間の取りこぼし状態次にやること
週0〜1件取りこぼしは少ないネット予約は後回し。まず流入を増やす(HP・検索)
週2〜4件受け皿が足りていない最小のフォームを1枚載せる。費用ゼロで始められる
週5件以上電話だけでは取りきれないフォーム+自動返信を整え、運用を仕組みにする

最小で始めるなら、フォーム1枚から

ネット予約と聞くと、空き枠が並んで客がその場で時間を選べる仕組みを思い浮かべるかもしれません。それは後で足せます。最初に要るのは、24時間申し込みを受けられる問い合わせフォーム1枚です。受け取った内容を見て、あなたから日時を確定する形で十分に回ります。

フォームの項目は、最初は次の4つに絞ります。入力が多いほど途中で諦められるからです。

ホームページを持っているなら、制作した会社に「問い合わせフォームに車種と希望日の欄を足してほしい」と頼むだけで済むことが多いです。ホームページ自体に反応が出ていないなら、フォームの前にトップの作りを直す番です。何を直すかは、反応の出るホームページに何を直すかでまとめました。

予約システムを契約するかの分かれ目

フォームで受けた申し込みを、毎回こちらから確定するのが手間になってきたら、予約システムの出番です。空き枠を自動で見せ、客がその場で時間まで選べる仕組みのことです。月額の費用がかかるので、入れる前に元が取れるかを確かめます。

分かれ目は、月の受付件数と、確定のやり取りにかかる手間です。下を目安にしてください。名指しのサービスや料金はここでは出しません。複数を見比べ、自店の受付件数で月額に見合うかを試算してから決めます。

状況フォームで足りる予約システムを検討
月の受付件数数件〜十数件毎日のように届く
確定のやり取り電話1本で済む日程調整の往復が増えて手間
枠の見せ方こちらで調整して提示空き枠を自動で見せたい
かかる費用ほぼ無料月額。受付件数で元が取れるか試算

大事なのは順番です。受付が少ないうちから高機能なシステムを入れても、空き枠を見に来る客がいなければ月額だけが残ります。フォームで受付の流れを作り、件数が増えてからシステムに乗り換える。この順なら無駄が出ません。

人手をかけずに回す返信の運用

「ネット予約を入れたら、夜中でも返信に追われるのでは」と心配するかもしれません。そうはなりません。申し込みは24時間受けますが、返信は営業時間内で構わないからです。鍵は、受付直後の自動返信を一つ用意することです。

申し込みが届いた瞬間に「受け付けました。営業時間内に折り返します」と自動で返るようにしておけば、客は届いたことが分かって安心して待てます。あなたは朝と夕方の1日2回、まとまった時間に確認して折り返せば回ります。即時に人を張る必要はありません。

役割を分けて考える

ネット予約は申し込みを「受ける」器です。器に客を流すのは別の仕事になります。店の評判と場所を確かめてもらうのはGoogleマップ、料金や車検の流れを見せるのはホームページ、最後に背中を押すのが予約フォーム。地図やホームページで来た客が迷わず予約に進めるよう、入口をつなげておきます。Googleマップの手入れはGoogleマップ(MEO)を整備・車検店で使うに分けました。

今週やること ― 1週間の取りこぼし計測

判断の前に、自店の取りこぼしを数えます。難しい道具は要りません。スマホの着信履歴と、レジ横のメモ1枚で足ります。

今週やる取りこぼしの計測
  1. レジ横に紙を1枚貼り、出られなかった電話を「時間帯・折り返せたか」で1週間記録する。
  2. 営業時間外の不在着信を、スマホの着信履歴で毎晩数える。
  3. 週末に合計し、上の目安表で自店がどの行かを見る。
  4. 週2件以上なら、ホームページの制作会社に「車種と希望日を聞くフォーム」を依頼する。
  5. あわせて、トップの予約ボタンがスマホで押しやすいかを自分の指で確かめる。

この1週間で、ネット予約を載せるべきかが数字で分かります。載せると決めたら、フォーム1枚と自動返信から始め、件数が増えてから予約システムを検討する。流行で入れるのではなく、自店の取りこぼしを埋めるために入れる。これが回り道のない順序です。集客全体のどこから手をつけるかは、車検の入庫を増やす集客の順序でまとめました。

よくある質問

ネット予約を入れると電話予約は減りますか。
電話を好む客は電話を使い続けます。ネット予約が拾うのは、いまは電話がつながらず諦めていた客、夜や休みに動く客、電話が苦手な客です。電話が減るのではなく、これまで取れていなかった層が足されると考えてください。電話番号はネット予約と並べて必ず残します。
予約システムを契約しないとネット予約はできませんか。
まずはホームページの問い合わせフォームでも始められます。車種・希望日・連絡先を受け取り、こちらから日時を確定する形です。受付件数が増えて手作業の確認がきつくなってから、空き枠を自動で見せる予約システムを検討すれば足ります。最初から高機能を入れる必要はありません。
ネット予約を載せたのに件数が増えません。なぜですか。
入口が見えていないことが多いです。トップの目立つ場所に予約ボタンを置く、スマホで押しやすい大きさにする、Googleマップの店情報からも予約に飛べるようにする、の3点を確かめてください。フォームの入力項目が多すぎても途中で離脱します。最初は車種・希望日・名前・電話の4つに絞ります。
問い合わせに返信する人手がありません。どうすればいいですか。
ネット予約は申し込みを24時間受けられますが、返信は営業時間内で構いません。受付直後に「受け付けました。営業時間内に折り返します」と自動で返す設定にしておけば、客は安心して待てます。朝と夕方の1日2回まとめて確認する運用でも回ります。即時に人を張る必要はありません。
出典(取得日:2026年6月4日)
  1. 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向」(2025年3月末現在。乗用車の平均車齢9.44歳で33年連続上昇)
    https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html
  2. 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)「令和6年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要」(2025年1月29日公表。事業場92,384・3年連続増、調査時点2024年6月30日)
    https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R06jittaityousa.pdf

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