なぜ「安いポータル」で選ぶと損をするのか

ポータル選びでまず目が行くのは掲載料の安さです。そこだけで決めると、入庫が増えたときに支払いがふくらみ、手元に残るお金が思ったより少なくなります。車検は1台で終わらず、2年ごとに繰り返す仕事です。初回をポータル経由で取っても、次の車検でまた同じポータルから探されれば、同じ客に手数料を2度払うことになります。

しかも入庫の母数は、これから先も増えます。自動車検査登録情報協会の調べでは、2025年3月末で乗用車の平均車齢は9.44歳と、33年連続で上がり続けています。古い車ほど車検・整備の出番が増え、その客が頼り先をスマホで探す。全国の民間車検場(指定工場)は2023年で約3万90工場あり、近所の店どうしで入庫を取り合う構図は強まる一方です。だからこそ、手数料を「月いくら」でなく「入庫1件あたりいくら」で見て、自店の件数に当てる必要があります。

手数料は型で見る ― 月額と成果課金

車検ポータルの料金は、各社で名前や金額が違っても、仕組みは大きく月額型と成果課金型に分かれます。実額はプラン改定で変わるので、ここでは型として押さえ、数字は契約前に最新の料金表で確かめてください。

料金の型支払い方向く店気をつける点
月額型(掲載課金)入庫件数に関係なく毎月一定額すでに入庫が多く、件数を伸ばしたい店暇な月は割高。1件あたりは件数で割って初めて分かる
成果課金型(送客課金)予約や来店が発生した件数に応じて件数が少なく、無駄打ちを避けたい店繁忙期に件数が伸びると支払いも比例して増える
混合型低めの月額+成果ぶん件数が読みにくい店両方かかる。総額は最も読みにくい

同じ「手数料」でも、月額型は入庫が増えるほど1件あたりが下がり、成果課金型は件数に正比例します。自店が月に何台の新規車検を取れているかで、どちらが得かは逆転します。まず自店の月の新規入庫件数を出してから、料金表に当ててください。

来た客は誰のものか ― 帰属で決める

料金の次に効くのが、来た客がその後どこに付くか、です。ポータル経由の客は、初回はポータルの予約画面を通って入ります。問題はそのあと。引き渡しのときに、あなたが次回の案内とハガキ・LINEなどの連絡先を取れていれば、2回目の車検は自社で受けられます。取れていなければ、2年後にまた同じポータルから探され、手数料を払い直すことになります。

手数料は「初回だけ」に効かせる

車検は2年ごとの繰り返しです。手数料は新規をつかむ初回に払う前提で、2回目以降は連絡先と次回案内で自社に引き取る。こう決めておくと、同じ客に何度も手数料を払う事態を避けられます。来店時の声かけと、ハガキ・LINEでの車検時期の案内が、その土台になります。

どのポータルに載せるか ― 3軸の比べ方

候補が複数あるときは、料金の安さで並べず、次の3軸で比べます。各社のページや営業資料を、この3つの問いで読み込んでください。

比べる軸確かめる問いなぜ効くか
客層と地域自店の商圏に、そのポータルの利用者がいるか。年齢・車種の層は合うか利用者がいない地域に載せても、入庫は来ない
料金の型と総額月額か成果課金か。自店の月の件数を入れた1件あたりはいくらか同じ手数料でも件数で得失が逆転する
客の引き取りやすさ再来を自社に移せるか。直接連絡や次回案内に規約上の制限はないか引き取れないと、毎回手数料がかかる

3軸のうち、最初に切るのは客層と地域です。あなたの商圏に利用者がいないポータルは、料金がいくら安くても入庫につながりません。次に料金の型を自店の件数で計算し、最後に、客を自社に引き取れるかを規約で確かめる。この順で2〜3社にしぼれます。最初から多くに載せず、効いた1〜2社に集中するほうが、手数料も手間も軽くなります。

自社予約とポータルの順番

立ち上げの順番を間違えると、ずっと手数料を払い続けることになります。先に整えるのは、ポータルではなく自社の入口です。順番はこうします。

図:新規集客を組む順番
1
Googleマップを整える(無料)
「地名 車検」で探した人が、評判と場所を確かめる場。手数料がかからない入口を先に作ります。
2
自社のネット予約を置く
指名や再来の客が直接入る窓口。ここに来る客には手数料がかかりません。
3
届かない新規にポータルを足す
自社の入口でも届かない層への補助として、しぼった1〜2社に載せます。

自社の入口がないままポータルだけに頼ると、指名の客にまで手数料がかかる形になりかねません。自社が土台、ポータルは新規の補助。この関係にしておけば、入庫が増えても手元に残るお金が削られません。Googleマップの整え方はGoogleマップ(MEO)を整備・車検店で使うに、集客全体のどこから手をつけるかは車検の入庫を増やす集客の順序にまとめました。

載せるか決める ― 5分の試算

あれこれ迷う前に、自店の数字を入れて計算してみてください。これで「載せる価値があるか」がその場で見えます。

今日やる5分の試算
  1. 自店の月の新規車検件数を出す(指名・再来を除いた、本当に新しい客の数)。
  2. 候補ポータルの料金表を取り寄せ、月にかかる総額を出す(月額+想定の成果ぶん)。
  3. 総額 ÷ ポータル経由で見込める新規件数で、新規1件あたりの手数料を出す。
  4. その1件あたりが、新規車検1台の粗利に対して見合うかを見る。
  5. 2回目以降を自社で受ける段取り(連絡先・次回案内)を、載せる前に決めておく。

1件あたりが粗利に見合い、なおかつ再来を自社に引き取れるなら、載せる価値があります。逆に、自社の入口が未整備で、再来も引き取れない状態なら、ポータルより1と2を先に整えます。ポータルは新規をつかむ補助、自社が客を残す土台――この分け方で、どのポータルに載せるかが決まります。いくらまでなら手数料をかけてよいかは、整備工場の集客予算で配分の考え方を扱っています。

よくある質問

車検ポータルの手数料はどんな仕組みですか。
大きく分けて、毎月決まった額を払う月額型と、予約や来店が発生した件数に応じて払う成果課金型があります。月額型は入庫が増えるほど1件あたりが安くなり、入庫が少ない月は割高になります。成果課金型は来なければ払わずに済む反面、繁忙期に件数が伸びると支払いも比例して増えます。実額は各社・プランで変わるので、契約前に必ず最新の料金表を取り寄せて、自店の月の入庫件数に当てて計算してください。
ポータルから来た客は、その後も自店の客になりますか。
1回目の予約はポータルの仕組みを通って入ります。次の車検でも自店を選んでもらえるかは、引き渡しのときに次回の案内とハガキ・LINEなどの連絡先をこちらで取れているかで決まります。連絡先を残さず引き渡すと、2年後も同じポータルから探されて手数料を払い直すことになります。初回はポータル、2回目以降は自社で受ける、という移し方を最初から決めておきます。
ポータルと自社のホームページ予約は、両方やるべきですか。
立ち上げの順番が逆になると損をします。先に自社の予約とGoogleマップを整えると、指名で来る客には手数料がかかりません。そのうえで、まだ届かない新規の入口としてポータルを足します。自社の入口がないままポータルだけに頼ると、すべての入庫に手数料がかかり続け、客も自店ではなくポータルに付きます。自社が土台、ポータルは新規の補助、という関係にします。
中古車や買取のポータルも、車検集客に使えますか。
中古車掲載のポータルは販売の問い合わせを集める入口で、車検の予約を直接取る作りではありません。車検のポータルとは目的が違うので、車検集客の判断は車検向けのポータルで考えます。中古車ポータルの集客面は別の論点なので、そちらは中古車掲載の記事で扱います。
出典(取得日:2026年6月4日)
  1. 一般財団法人 自動車検査登録情報協会「わが国の自動車保有動向(車種別の平均車齢・平均使用年数)」(2025年3月末現在。乗用車の平均車齢9.44歳で33年連続上昇)
    https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html
  2. 国土交通省「自動車整備(認証工場・指定工場の数と推移)」(民間車検場=指定工場は2023年で約3万90工場)
    https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidoushaseibi.html
  3. 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)「認証事業場および指定事業場の推移」
    https://www.jaspa.or.jp/member/data/num_change.html

ポータル掲載の損得を試算する

「自店の件数で1件あたりの手数料を出してほしい」「どのポータルが商圏に合うか相談したい」など、集客の悩みを受け付けます。

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